ぼくらの復活祭

 

15体のモアイが空を見つめる「アフ・トンガリキ」。
夜明け前に車を走らせ、
寒さに身体を震わせながら朝日を待った。

 

神々しさに立ち尽くす

午前8時15分、紫がかった雲がピンクに染まり、
水平線から太陽が顔を覗かせた。
朝日を背にモアイがシルエットと化して
太陽ににじんだ。

言葉を失う…。

 

目の前の光景に立ち尽くしている自分は
モアイと同じだ。
朝日も夕日も、毎日のことなのに
気持ち次第でこうして神聖なものとなる。

人って不思議だ。
こんな気持ちに気づかせてくれる旅に感謝したい。

 

宿を移る

宿に戻ると事件が待っていた。
というのも、自分で撒いた種。
もともと最初の3泊は個室で、最終日はテントと
オーナーに伝えてあった。しかし、人は弱い。
一度その快適さに慣れてしまうと今さらテントに移れなくなる…。

「もう1泊も個室で」とお願いしたところ、
すでに予約が入っている!と却下されてしまった。
アフリカを旅していた頃のストイックさはどこへやら…。
テントは勘弁!と、他の宿に移ることを決めた。

幸いレンタカーの返却時間までまだ2時間ある。
車に荷物を詰め込み、宿探しに出かけた。
宿情報を持ち合わせていなかったので、とりあえず空港へ。
きっと客引きがいるはずだ。

読みは的中した!ちょうどサンティアゴへと戻る日本人に会い、
彼らが泊まっていた宿を紹介してもらうことができた。

 

優しい場所

村のはずれ、山間の静かな宿。
1泊6000ペソ(約1000円)と手頃だった。
綺麗なキッチンに、清潔な部屋、
そして膝に飛び乗ってくる猫が1匹。気に入った。

穏やかな午後を迎えた。
窓を全開にして揺れるカーテンを見つめながら
ベッドでまどろむ。
緩やかに過ぎる島時間も残りわずか。
いつもなら「やり残したことは?」と、
宿を飛び出して観光をするところだが
今は、この時間を感じていたい。
楽しかった時間に思いを巡らせながら
優しい気持ちに包まれていた。

 

心が癒される島

夕方にかけて激しい雨が島を包んだ。
雨音のBGM、風はすっかり冷たくなった。
トラブル続きで始まった南米の旅。
「なぜ自分ばかり?」と、与えられた試練の重さに辟易した。

それでも旅はつづく。だからここにいる。
何度も折れかかった心を、このイースター島が癒してくれた。
復活、ぼくらの復活祭(イースター)だ。

 

この島で迎える最後の夜
風はいつもより静かだった。

↑久々の外食で食べたものは島の名物料理
「エンパナーダ」。
マグロをパイ生地で包んだ一品は
お値段1700ペソ(約300円)

 

旅のカケラ/slideshow

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