ジャングルクエスト1 ~アマゾン川を下る~

午前9時、
2泊3日のアマゾンツアー開始。
『PASEOS AMAZONICOS』というツアー会社で
料金は120ドル(宿、食事、移動費込み)。

 

ボートで出発

まずはイキトスの町からスピードボートに乗り込み、
アマゾン川を40kmほど下った先にあるロッジを目指す。
20分ほど進むとボートが停まった。

「ここからがアマゾン川です」
川の流れが変わった。
茶色く濁った水がゆるやかにうねっている。
秘境への入口、眠気もすっかり吹き飛んでいた。

アマゾン川を40分ほど進むとロッジに到着した。
どうやらここを基点にジャングルを探検するようだ。
ロッジは木造で茅葺きの屋根。
電気は2時間だけ自家発電するそうだ。
広いロビーは食堂も兼ねていて、
食事の準備ができるとスタッフが太鼓を叩いて知らせる。

 

ロッジに到着

部屋は個室で、トイレとシャワーが付いていた。
あいにく電気はないが、夜はランタンを用意してくれるそうだ。
ジャングルの奥地とは思えないほど清潔で、
それでいて雰囲気抜群の宿に満足だった。
昼食ができるまでハンモックに揺られた。

なにやら外が騒がしい。
カメラを持って庭を覗いてみると、
鮮やかな青をしたオウムが木にとまっていた。
そっと近づきシャッターを切る。
おぉ、アマゾンらしくなってきたぞ!

食事はビュッフェで、とても美味しかった。
ツアーは総勢9名で残念ながら日本人はいなかった。
ガイドは英語とスペイン語で説明をしてくれるので
ギリギリついて行けそうだ。

 

森が叫んでいる

食事が済むと小舟に乗ってアマゾン川をさらに下った。
水面を滑るように進むボート、
川はほとんど流れがなく、とても静か。
このトリップ感は旅ではなく、探検か冒険。
まるでゲームの中の世界にいる気分だ。
鳥や猿の鳴き声が森にこだまする。
森の叫んでいるようだ。

小さな集落に着いた。
ヤグアという先住民の村である。
腰みののような衣装を身にまとった村人が出迎えてくれた。

 

アマゾンの原住民

ガイドが先頭に立ち、村の長に挨拶をした。
パッと見、男性か女性かわからないが
十分な貫禄を持っていた。
歓迎の踊りが始まり、子供たちも出てきた。

広場の真ん中にトーテムポールのような人型の木像が立っていた。
きっとここの神様だろうと、
触れないように注意しながら写真を撮っていた。

しばらくすると、村の男が吹き矢を披露する!と立ち上がった。
長い筒を口に構え、毒矢を込めた。
不動のまま大きく息を吐いた瞬間、矢は一直線に飛び出し
あの木像の鼻に命中した。
なんだよ、的かよ…。
よく見ると小さな穴が無数に空いていた。

「お前もやってみろ」
吹き矢を渡され、矢を込められた。
東洋の忍者パワーを見せてやろう。
肩幅に足を開き、的をよーく狙って大きく息を吐いた。
ひょろひょろ~と矢は放たれ、
木像の腹に刺さった。
うん、命中(笑
威力はなかったがナイスコントロール、
拍手で祝福された(照

 

シャーマンとの出会い

村を後にし、再び川を下る。
小さな村に舟を着け、今度は森を歩いた。
雨季のアマゾンは足元がゆるく、
膝近くまで埋まるような水溜りがいくつもある。
時折激しく雨が降り、行く手を阻んだ。

そして小屋に着いた。
川で漁をしていた男がずぶ濡れのまま登場した。
彼はシャーマン。
まじないに使う秘薬を説明し、
「飲んでみろ」と、
得体の知れないエキスをお猪口に注がれた。
え、大丈夫?

説明によると、彼は10年間森の奥で修行し、
様々な木や草、キノコを使って万能薬を作ったと言う。
アヤワスカと言い、このエキスはまじないの際に欠かせないもので、
これを飲むとトランス状態になりやすくなるそうだ。

周りを見渡すと、みな平気で飲んでいる。
ほれ、お前も。
そんな顔で見つめられたら飲むしかない。
意を決して一気に飲み干した。
甘い、旨い♪
おかわりはくれなかったが、
これも身体にいいからと違う色のエキスを注がれた。

うん、甘~い。
正体はわからないが、甘いブランデーの味。
身体に変調はなく、心なしか力が沸いた気分。
ツアーに参加していた欧米人が
このエキスをいたく気に入ってしまい
100ソル(約3000円)で購入していた(笑

少しだけ、とシャーマンによる呪術が始まった。
タバコに詰めた薬でトランス状態に持っていく。
歌のような、呪詛のような言葉をつぶやき
見えない何かをつかむ仕草を繰り返した。
とても不思議な光景だった。

 

森は歌い、川はささやく

アマゾンに日が落ちる。
雨雲の隙間にオレンジの夕焼けを見た。
森と語らい、川と生きる生活。
自分が住んでいる世界から一番遠い場所にある暮らしだ。
たった3日とはいえ、貴重な経験になりそう。

午後8時には暗闇が辺りを包み込み、
人の小ささ、無力さを思い知らされる。
ロッジには無数のランタンが置かれ、
幻想的なランプの宿と化していた。

静かな静かな夜。
雲は晴れ、星空が広がっていた。
暗闇の中でボートを浮かべ
夜のジャングルを彷徨った。

 

森は歌う。川はささやく。
静けさにも音があることを知った。
吸い込まれるような夜空を見上げ、
水が跳ねる音に耳を澄ませた。
やがて闇に目は慣れ、
黒は藍色へと薄らいでいった。

いい夜だ。
静かで、たおやかで、
どこまでも広い。
いい夜だった。

 

旅のカケラ/slideshow

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