エレベーターじいさん

モアイの島が小さく霞んでいく―。
午後1時50分、
淡い思い出を残して飛行機は離陸した。

サヨウナラ、イースター

 

首都サンティアゴ

聞き取れないスペイン語、機内食は不本意にもパスタになった。
隣の人が食べている肉料理がホントは欲しかった…(羨ましい)
気分で飲めもしないワインをもらい、
パーソナルTVで『ダイハード4』を観た。

いつしか窓の外は燃えるような夕日に染まった。
午後8時半にチリの首都「サンティアゴ」に降り立った。

バス(約300円)が走っていたので、
空港から街の中心へはバスを利用し、
終点でタクシーに乗り換えて宿に向かった。

宿は『アルマス・ホテル』で、
旧市街の真ん中にあるアルマス広場に面していた。
綺麗なドミトリーをあてがってもらい、ネットもフリー。
1泊10ドルだ。

 

エレベーターの住人

荷物を置くと遅い夕食へ出かけた。
通りには屋台が出ていて、ホットドッグ2つと
コーラのセットを食べた。
これで約200円だから、イースター島に比べて
物価は約半分に下がっている。

門限ギリギリで宿に戻り、エレベーターに乗り込む。
年代モノのエレベーターで、中には
エレベーターガールならぬエレベーターじいさんがいた。
目的のフロアを告げると
のろのろと扉を閉め、行き先ボタンをポン。
軋み音をたてながら、これまたゆっくりと上昇した。
明治か大正にタイムスリップしたようなレトロな気分。

扉は手動で、これもじいさんが開け閉めする。
「おやすみ」
穏やかな声が背中から聞こえた。
おやすみ、箱の住人に手を振った。

窓から夜のサンティアゴを見下ろした。
久々に目にする街のネオン、
そこは静かな大都会だった。

カラーン、
すぐ近くにある大聖堂の鐘が遠慮がちに響いた。
その音を合図にベッドに潜り込む。
細長いチリのど真ん中で、静かな夜に包まれた。

 

 

旅のカケラ/slideshow

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