アキタビ ’22(インドネシア編) ♯02 Brand new planet

早朝4時、簡素なホテルの部屋にアラームが鳴り響く。
一瞬ここはどこで、何をしてるんだっけ?と、
記憶をさまようが、すぐに旅先にピントが合った。

 

クアラルンプールの朝

荷物をまとめ、予約しておいたタクシーに乗り込む。
街はまだ眠りについていて車もほとんど走っていない。
仄暗いオレンジのネオンと、流れる景色を眺めながら
しばらくまどろんでいた。
時速100キロで空港へと飛ばすタクシー。
肉骨茶(バクテー)を食べただけでマレーシアの旅は幕を閉じる。

フライトの3時間前にチェックインを済ませ、
残った時間は空港ラウンジで過ごす。
プライオリティパスを使うのも3年ぶり、
年会費33000円、ぜんぜん元が取れてないや(苦笑)
早朝ということで、静かでとても空いていた。
ビュッフェもシャワーもあり、この薄暗さがとても快適だ。

 

トラブル発生!

9:00発、MH715
行先はデンパサール(インドネシア)。
およそ15年ぶりのバリ島だ。

定刻より1時間ほど遅れてデンパサールに着いた。
まずは検疫。ワクチン接種証明を見せ、
インドネシア政府の独自アプリをインストールして通過。
ビザが必要だったが、これもアライバルビザが取れるので簡単だ。
ただ、円安の影響で5000円もするのが痛い。
ちなみに、日本円でもクレカでもOKだった。

イミグレーションは長蛇の列…。
圧倒的に係りの人数が足りていない。
これは1時間はかかるな、と長期戦を覚悟した。
そのとき、スマホが鳴った―。

「なんだろう?」
通話料が気になったが、インドネシアの番号だったので出てみると
明日宿泊するホテルからだった。
訛りの強い英語だったので、なかなか理解できなかったが、
どうやらオーバーブッキングのようだった。

どうしたらいいか交渉をしたいところだが、
英語がうまく話せず、とりあえず後から連絡すると言って電話を切った。
さぁ困ったぞ。
ずいぶん早くに予約をしてあったので早割料金がもったいないし、
なにより今回はワーケーションをするために
環境の整ったホテルを予約してあった。
今からホテルを替えるのも仕事にリスクが生じて怖い。

悶々としながら作戦を練った。
この長蛇の列が幸いしてくれた。
他のホテルを調べてみると、いくつか部屋は空いているようだが、
ずいぶん割高に感じたし、連泊できるところは少ない。
ここは今日の予定をあきらめ、
明日から泊まる予定だったホテルに向かうことにした。

今回のプランはウブドに7泊滞在するワーケーション。
いつもは忙しく動き回るが、仕事も絡めているので
同じ場所にずっといる沈没スタイルだ。
コロナによって旅の価値観も変わってきたのかもしれない。

 

ウブドには旅の神様がいる

空港からウブドまでは90分ほどかかった。
昔訪れたときよりはるかに交通量が多くなっている。
「Ulun Ubud Resort」の受付に向かい、名前を告げると
受付の女性は申し訳なさそうに今回の事態を説明してくれた。

3泊の予約をしてあったが、初日の分だけ予約が確保できなかったといい、
そのかわりに近くの系列ホテルを押さえてくれていた。
もちろん、宿泊料金は変わらずで、実質アップグレードしてくれていた。
さらに、お詫びとして1時間のスパ(約6000円)を無料で付けてくれた。
今日泊まるホテルにも無料送迎してくれたし、明日も迎えにきてくれるという。
少し焦りはしたけど、こういうトラブルは楽しいし、
とても親切にしてもらえてうれしかった。

 

喧噪のウブド

すっかり日は落ちてしまったが、夕食がてら町の中心部に出かけた。
15年前と違って、ものすごく店が増えていて、喧噪に包まれていた。
絶えず鳴り響くクラクション、街角からは「タクシー?」の呼びかけ。
その活気がアジアだ。まだちゃんと残っていた。

そういえばマスクを着けている人は皆無。
もう外の世界ではコロナは終わっているようだ。
このマスクのない解放感も久々だ。

夕食を食べ、カフェで過ごし、
あてもなく町を歩いた。
物価は恐ろしく上がっていて、日本とさほど変わらない値段だった。
ただ、質もしっかりとしているので満足度は高い。
3年間、旅をしていなかった間に、
こんなにも世界は先に進んでいたんだな、と実感した。

いつしか熱気も和らぎ、
やさしいアジアの夜風に変わっていた。
さて、今回はどんな旅になるのだろう。

旅のカケラ/slideshow

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