アキタビ ’22(インドネシア編) ♯03 turn over?

1日、カーチャーターを依頼したので
今日は好きな場所に行ける。
ここバリ島では、バス路線が整備されていないので
タクシーか、カーチャーターが主な移動手段となる。

運転手はタマン、
オーバーブッキングになったホテルで手配してもらった。
優しそうな顔で、どことなく芸人のノッチに似ている。
行きたい場所を列挙すると、
じゃあこのコースでどうだ?とアレンジしてくれた。
いい車、運転も優しい。
(ちなみに料金は7000000ルピア/約7000円)

 

バリのデサ(村)、プンリプラン

まず最初に向かったのは
ウブドから約1時間の場所にある小さな村「プンリプラン」。
バリらしい昔ながらの雰囲気が村という触れ込みで、
昔ながらの方位決めで造られた村らしい。

南北にのびるメイン・ストリートを中心に構成されていて、
村の3ヶ所には、ヒンドゥー教の伝統に基づいた位置に寺院が配されている。
道路の両側には同じ門構えの民家が建ち並んでいる。
奄美大島のフクギに囲まれた民家と似ているので、
ルーツは同じなのかもしれない。

門をくぐり、庭に入れてもらうと
小さな小道が続いていて、迷路のようで楽しい。
こういう素朴で、ローカルな場所が一番好きだ。
2時間ほど村を散策し、次の場所へと向かった。

 

幻の世界遺産

小さな村をいくつか抜け、森の先に現れたのは
「ブサキ寺院」。

聖なるアグン山の麓に佇むヒンドゥー教の総本山で、
「母なる寺」とも呼ばれるそうだ。
16世紀のゲルゲル王朝時代に地位を確立し、
ウィシュヌ、シヴァ、ブラフマの3大神を祭る寺院である。

幻の世界遺産とも言われていて、
寺院反対によって3回も世界遺産登録を見送ったと。
圧巻のスケールで、ジャワ島にあるボロブドゥール遺跡といい勝負かも。
長い石段を登りながら、神秘的な景色を楽しんだ。

寺院の一番上では、祭壇の前に座り、祈りを捧げた。
僧侶にチャナンをもらい、聖水を振りかけてもらう。
何かを願うのではなく、心を無にして祈るのが正解だとか。
静かで、風が心地よかった。

 

気の利くドライバーで、
バトゥール湖が見下ろせる展望台や、
沐浴場として有名なティルタウンプル寺院にも立ち寄ってくれた。
決められたコースをめぐるツアーと違って、
1日中好きな場所に連れていってくれるのは本当にありがたい。

 

コピルアックと棚田

ジャコウネコの排泄物から採取される
幻のコーヒー、コピルアック。
熟したコーヒー豆をジャコウネコが餌として食べ、
消化されずに排泄された豆を、
洗浄したものがコピルアックと呼ばれる。
日本では1杯5000円とも1万円とも言われる高級コーヒーだが、
ここバリのコーヒー農園では500円ほどで飲めてしまう。

ドライバーのタマンに、
調べてあったコーヒー農園に寄りたい旨を告げると、
「そこは高いから、違う場所でもいいかい?」と、
とてもローカルな農園に連れていってくれた。
バリの人たちはとても控えめな性格で、
どこに行ってもしつこい接客はしてこないが、
連れて行ってもらった名も知らぬコーヒー農園も例にもれず、
とても控えめな案内で迎え入れてくれた。

入園料は無料で、10種類ほどのコーヒーを試飲させてくれた。
コピルアックだけは有料だが、
50000ルピア(約500円)だったので、
もちろん1杯いただくことに。
もともとコーヒーは苦手なので違いはよくわからないが、
ありがたい気持ちになった。

ドライブの締めくくりは「テガララン」。
15年ほど前にも訪れた場所だが、
記憶はほとんど残っていない。
ただ、ウブドといえば棚田を真っ先にイメージするので
とても楽しみにしていた場所である。

テガラランの棚田は、美しいカーブを描きながら
何層にも重なっているのが特徴で、
よくぞこんな傾斜のきつい場所に田んぼを作ったものである。
大きなヤシの木に囲まれていて、
階段状になった棚田が連なる姿は圧巻であり、幻想的だった。
最近では空中ブランコが人気のようで、
よくガイドブックで目にする。

斜面を下り、細いあぜ道を歩く。
夕方の雰囲気と相まって、なんだか刹那的だ。
これまでたくさんの国を巡ってきたが、
こうして同じ場所を再訪するのに15年という月日が流れてしまう。
行きたい場所と、戻りたい場所。
この細い畝のように、頭の中でたくさんの場所がつながっている。
コロナで失った3年間はとてももったいない時間だ。
そしてこれからも、
今までのようには気軽に海外はいけないかもしれない。

風が少し冷たくなってきた。
1日、1日を大事にしながら、
これまで以上に旅の時間を噛みしめたい。

旅のカケラ/slideshow

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