ナミビアのウィントフックを出発したバスは
20時間走り続け、午後3時に
ケープタウン(南アフリカ)に到着した。
4度目の南アフリカ
南アフリカの国境を通過したのは午前4時半。
バスの乗客がズラリと長蛇の列を作り、
スタンプ1つもらうのに
1時間以上もかかってしまった…。
眠気を堪えながら星が瞬く夜空を見上げていた。
バスに戻ると、空が明るくなってきた。
しばらく眠れず、走馬灯のように
この旅を振り返っていた。ガムシャラに歩いた
アンナプルナ(ネパール)のトレッキング。
80kmの道のりをひとりぼっちで歩きつづけたっけ。
インドのヴァラナシでは、小船に乗ってガンガーを渡った。
イエメンで見た世界最古の旧市街は、箱庭みたいで
レトロな造形美にいつまでも見とれていた。
トルコはカッパドキアの絶景、エジプトはピラミッド、
エチオピアは岩窟教会、ケニアはサファリ、
そして、マダガスカルはバオバブ街道に沈む夕日
すべてが懐かしいけど、
昨日のことのように覚えている。
アジア、中東、アフリカ。
もう地球を半周したんだね…。
ケープタウン
疲れ切った身体でバスを降り、
宿まで30分の道のりを歩いた。
ケープタウンは想像以上に都会で、
ヨーロッパ的な美しさを持った街だった。
西ケープ州の州都にして、南アフリカの議会や
政府機関が置かれている立法首都。
テーブル湾に面していて、その地形から
世界でもっとも美しい都市のひとつと言われている。
ケープタウンはもともと東アフリカ、インド、東アジア貿易に
携わるオランダ船の食料基地として建設されており、
それはスエズ運河が1869年に建設される
200年以上も前のこと。
また、この国の発祥の地として
「マザー・シティ」とも言われている。
ウォーターフロント
宿に荷物を置くと、街をダッシュした。
ロベン島へのフェリーチケットを手に入れるため、
ウォーターフロントへ行かなければならないのだ。
チケット売場は17時までしか開いてないと聞き、
時計の針はすでに16時45分…。
歩いて40分かかる道のりを、15分で駆け抜けた。
タクシーを使えばよかったと、気づいたのは到着後だった。
チケットを無事に入手し、
しばらくウォーターフロントを散歩した。
19世紀の建物を再現した港で、
目の前にはテーブル・マウンテンがそびえていた。
西日に照らされた水面がキラキラと眩しく、
ディズニーシーを彷彿とさせる街並みは美しかった。
「アフリカの果てまで来たんだ…」
ふいに望郷の念が沸き起こり、少し胸が苦しくなった。
アフリカで過ごす時間も残りわずか。
容赦なく時間は過ぎていく。
いとおしく思える瞬間ほど、時の流れは早い。
パンドラの箱
明日は喜望峰を目指す。
アフリカの終着駅はココと決めている。
パンドラの箱には“希望”が入っていた。
じゃあ、この“喜望”の先には何があるのだろう?
パンドラの箱の中には、箱があり、
その箱の中にはまた箱がある。
箱を開けつづけることをやめなかったから
最後に“希望”にたどり着いた。
何もないことはわかっていても、
それでも歩みつづけるのが旅である。
喜望の先にあるもの、それはきっと…
まだ見ぬ明日、だと思う。
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