クレッシェンド

国境と千の夜を越える旅は、
23ヶ国目「エチオピア」を目指す。

 

スーダンの終わり

今日は午前7時に宿を発ち、
ゲダレフの街外れにある「スーク・アルコーダ」
にて乗合ワゴンに乗車。
定員は14人で、なかなか満席にならず
1時間半ほどそのまま待機することに。

このバス停は市場になっていたので
揚げたてのドーナツ(約20円)と、
甘ったるいチャイ(約20円)を口にした。

次第に活気を帯びていく市場。
ドンキー(ロバ)がノロノロと
重たい荷物を運んでくる。
騎手は子どもたちで、
竹の棒を振り回してドンキーを起用に操る。

真っ赤なトマトを並べるおじさん、
タマネギを刻んで鍋でかきまぜるおばさん、
スーダンののどかな旅もここで終わる。

 

テレビで観たアフリカ

スーダンとエチオピアの国境である
「ガラバート」への運賃は、
12ポンド(約550円 荷物代込み)だった。

乗車時間はおよそ3時間で、
途中にいくつもの小さな集落を横切った。
水平線を望みながら、
真っ直ぐな道をひた走っていく。
草原の中からヤギや牛がひょっこりと顔を出し、
その脇を、カラフルな衣装をまとった女性たちが
頭に荷物をのせてとぼとぼと歩いていた。

あ、テレビで観たアフリカだ!

エジプト、スーダンを抜けて
エチオピアに入ろうとしている。
地図で見ればあの広大なアフリカの
1/3くらい南下したことになる。

クレッシェンド♪
だんだんアフリカが
強く、深く、濃くなっていく。
ワゴンの加速に呼応して
心のプレリュードも加速し始めた。

 

ポレポレ

国境のイミグレーションは
もっとアフリカらしかった。
土でできた建物が事務所で、
ふたりの係員がおしゃべりをしながら
手書きで書類を作成していく。

アフリカのスワヒリ語に「ポレポレ」という
言葉があったことを思い出した。
ポレポレ=のんびり
いかにもアフリカらしい言葉だね♪

27ヶ国目、エチオピア。
“アフリカの角”と呼ばれていて
なるほど、サイのような形をした国だ。

本当は「ゴンダール」という
エチオピア第3の街まで行きたかったが、
バスはすでに終了していた。
暑くて、喧騒がひどい
国境の小さな町「メテマ」で宿をとった。

 

メテマの冒険

アフリカはポレポレ行くしかない。
町は土のメインロードが1本通っているだけで、
布や日用雑貨を売る商店、
そしてバーが軒を連ねている。
脇に反れれば、けもの道のような小道が走り、
トンガリ屋根の住宅街が広がっている。

カメラ片手に散歩をしていると
「ハロー、ハロー」と、
村人たちに囲まれた。

彼らは揃ってこう問う。
「チャイナ?」
いやいや、日本人だよ。
そう返すと、瞳をまん丸にして
「グッド!」と握手を求めてくる。
アフリカでも日本人の評判はすこぶる良い。

一通り村人たちの記念撮影を終えると
食事を摂るために集落を後にした。
その間メインロードまで、
総勢30人くらいが見送ってくれた。
アイドルか親善大使になったような人気ぶり。

アフリカに抱いていた先入観が
どんどん崩れていく。楽しい。
天国じゃん、アフリカって☆

暑さも想像以上じゃないし、
人々はすこぶる優しい。
治安だって今のところアジアよりも良い。

 

魔のインジェラ

気を良くし、そのままローカル食堂に入った。
注文したのはエチオピアの主食
「インジェラ」

う”っ、、、何これ!
ま、まずいぃぃぃぃぃぃ!!!!

パンが水っぽくて、しかも酸っぱいよ!
梅干のような酸っぱさとは別の
背中に電気が走るというか、
これは口にしてはいけない!と、
舌が拒絶反応する味だ。
噂に聞いていた“ぞうきんパン”、
旅人の間で恐れられている一品である。
しかしこれほどとは、、、(泣)

滅多に食事は残さないのに、
ほぼ全部残した。
口直しに違う店でパスタを頼み、
コーラを流し込むと
ようやく落ち着きを取り戻した。

インジェラ、恐るべし!
これがアフリカの洗礼だったか…。

 

旅のカケラ/slideshow

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