オレンジデイズ ~2日目~

明けない夜はない―。
わずかなスペースを使って
身体をエビのように丸め、
頭から布を被って眠った。

 

ぬるい水で目をこじ開けた

目が覚めると、船内はすでに明るくなっていて
ザワザワと、人々がうごめいていた。
人と荷物を掻き分けて洗面所に行き、
ぬるい水で目をこじ開けた。

午前7時、また新しい1日が始まった。
ずっと楽しみにとっておいた
『模倣犯』(宮部みゆき)の5巻を読み終え、
圧倒的な文章力とストーリーに溜息をつく。

あぁ、文字が書きたい!
日記が今すぐ書きたい!
心がうずいた。
(でも、こうして日記を綴れたのは、
もっとずっと先だった…)

パンとチーズで簡単な朝食を済ませ、
物語を反芻しながら、
もう1度エビの姿勢で眠りに落ちた。

 

ワディ・ハルファ

スーダンの港へ着いたのは午後1時だった。
「ワディ・ハルファ」、これが最初の町。
周囲は砂漠で、一本道の脇にかろうじて商店が
数件並んでいるとても小さな町である。

ともあれ警察署に顔を出し、
「レジストレーション」を済ませることに。
レジストレーションとは、外国人登録のことで、
スーダンに訪れた場合、
3日以内にこれを行わなければならない。
しかも有料で、料金は61ポンド(約3000円)。
ビザで100ドルも支払っているだけに
まったくお金がかかる国だ…。

警察署を後にし、バスターミナルに向かった。
人が集まり次第、首都「ハルツーム」へ
出発するというバスを見つけた。

 

選択の余地はなかった

ハルツームまではおよそ700km、
24時間の乗車となる。
たった今、26時間のフェリーを終えたばかりなのに
さらに24時間のおかわり…!?
バスは別腹…いやそんなはずはない。

しかし選択の余地はなかった。
ここはアフリカのスーダン。
このバスを逃したら
次にいつバスが来るかわかったものじゃない。
むしろラッキーだと思って、
ありがたく乗車すべきだ。

 

 

60ポンド(約3000円)のチケットを
ひきつる笑顔で購入した。
バスはなかなか出発しなかった。
定員が揃わず、
荷物の積み込みにも時間がかかっていた。

出発までの3時間、
木陰に腰をおろし、のんびりと過ごした。
モハメッドとサリディという、
ふたりの子どもと仲良くなった。
3、4歳くらいだろうか。
最近は言葉が通じないことに
さほど不便を感じなくなったので、
子どもたちと接することが
上手くなった気がする。

追いかけっこをし、砂に絵を描き、
壁にもたれて一緒にジュースを飲んだ。
彼らにはやたらとなつかれ、
ことあるごとに寄って来ては
おんぶをねだる。
バスの中でも、休憩のたびに駆け寄ってくる様が
愛おしく感じた。
子どもを持つって、こんな感じなのだろうか。

 

大地の鼓動、原始の世界

バスが出発したのは午後6時だった。
車内はまさかの5列シート、
予想外の狭さだった…。
何度もジャンプをしながら、
ノロノロと砂漠を行く。

窓からは絶えず砂が舞い込み、
あっという間に真っ白さ…。
これぞアフリカの旅!って思ったね(笑

車窓がオレンジに染まった。
砂漠の水平線に落ちていく夕日。
美しさに、神々しさに
しばし言葉を失くした。
大地の鼓動、原始の世界、
アニミズムな気持ちが芽生えはじめている。

オレンジデイズ―
アフリカで何度夕日を数えるのだろう。

 

旅のカケラ/slideshow

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です