オレンジデイズ ~3日目~

夕日に心をとめた、そんな日々。
アフリカの旅は、深くて優しい。

 

連戦

 

26時間のフェリーを降りてすぐ、
24時間の長距離バスに乗り込んだ。
乗り込んだ、というよりは荷物のように
詰め込まれた感じか…。

狭い車内は身動きひとつ取れない(泣
こんなときも、頭ひねるより
腹をくくるしかないことはわかっている。

目が覚めるとバスは停まっていた。
午前3時、身体中が軋んで痛い…。
伸びをうちに外へ出ると、
満天の星が瞬いていた。

日本語は表現に富んだ言語で、
星は“輝く”よりも、“瞬く”が似合う。
上手く言ったもんだ。
ランダムに光を放ちながら、
夜空を散りばめていた。
夕日と星空、
ロマンチック・アフリカ、ここにあり。

 

UFO出現!?

「バスの運ちゃん、寝ちゃったらしい」
えっ、マジで!?

砂漠の上で毛布に包まったミイラが
何体も転がっていた。
この中に運ちゃんもいるのだろう。
仕方ないか、
アフリカの旅に急ぎ足は似合わないもんね(笑

座席に戻り、しばし星空を眺めた。
フワフワと星を縫うように
飛び交う光があった。
最初は飛行機かと思っていたが
飛び方がおかしい。
上下に蛇行しながら、
ときおり瞬間移動のように
夜空をジャンプする。

「ちょ、ちょっと!
UFOが飛んでるよ!!」

変だね、不思議だね、
そんな言葉を交わしながら
光の行く先を見つめていた。
全部で4機、星空を乱舞していた。

正体不明の光を追っていると
今度は流れ星が夜空にこぼれた。
何度も、何度も。
その旅に「あっ」って声を上げてしまう。

途中で寝ちゃう運転手も
謎の飛行物体も、
無数の流れ星も。
ここはアフリカ、
全部不思議じゃない。
寛大な心で納得できちゃうから
アフリカの魔力ってスゴイ!

 

またひとつ伸びをうつ

日本にいたらイチイチ大騒ぎしてたね、きっと(笑
それからも僕らは運ばれつづけた。
アフリカの大地に揺られ、
変わらぬ景色を眺め、
ダイナミズムに触れた。

幾度となくタイヤはパンクし、
砂漠のオアシスで熱いチャイを啜る。
夢を見て、身体が軋んで、
またひとつ伸びをうつ。

「あぁ、生きてるなぁ」
とにかく僕らは運ばれつづけた-。

 

西の空が茜に染まる

今日もいつもの時間がやってきた、
オレンジデイズ。
まるで儀式のように写真を撮り、
濃くて、何もない1日を反芻した。

午後6時、約束の24時間が経過した。
ハルツームはまだか?
見知らぬ街でバスは停車し、
運転手が外へ飛び出した。

 

「ハルツーム?」
淡い期待を胸に周囲に尋ねるも
笑って首を振られた。

運転手は戻って来なかった。
今一度状況を尋ねると、
どうやら警察に捕まったらしい…。
パトカーに連行され、
どこかへ消えてしまった運転手。

 

バイバイ、オレンジデイズ

乗客の数名はバスを降り、
タクシーに乗り換えた。
ずっとなついていた子どもたちも
ここでお別れすることになった。
モハメッドとサリディ、
相変わらず駆け寄ってきて
両腕にしがみついた。

教えたカンフーの真似をしながら
モハメッドは手を振り、
サリディは左手に3回キスをしてくれた。

バイバイ
夕日が終わった薄暗い街へと
家族は消えていった。

1時間ほどして運転手は戻ってきた。
さっきよりも運転が荒い…(汗)
ハルツームに着いたのは午後8時、
重いザックを担ぎ、
タクシーでホテルを探した。

3度の夕日を数え、
2泊3日の大移動はようやく幕を閉じた。
砂まみれの身体、
顔も髪も真っ白だった。

久々のシャワーに歓喜の声をあげるも、
ほんの数秒で悲鳴に変わった…。
「水シャワーじゃん!!」
アフリカの夜は意外に寒い。
震えながらシャンプーで砂を落とし、
毛布に包まって眠りに落ちた。

スーダンの旅って、タフだよ(笑

 

旅のカケラ/slideshow

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