シリアはシビア?

先日苦労して手に入れたフェリーチケット。
行き先は「シリア」のラタキアである。
このチケットを握り締め、キプロスのカズィマウサにある
フェリーターミナルへ向かった。

ありがとうキプロス、束の間の5日間でした。

 

水平線を眺めながら

フェリーは揺れも少なく、エアコン完備の快適空間。
わずかに残ったトルコリラで、コーラとサンドウィッチを買い
水平線を眺めながら優雅な食事だ。
ときどき水面を跳ねるトビウオが旅情を盛り上げる。
見渡す限りの水平線は、海の、地球の広さを教えてくれた。

これだけ圧倒的な景色を見せつけられると
逆に開き直った感じで、小ちっぽけな自分に安心できる。
言い訳じゃないけど、
ちっぽけなんだから、失敗したって問題ないって。
でもこの足で、ここまで来たことは誇りに思いたい。

 

シリアに上陸

5時間後、フェリーはラタキア港に入ってきた。
中近東の旅は、ヨーロッパの香りから
再び砂まじりの混沌へと様相を変える。

20ヶ国目、シリアに上陸した。

シリアは地中海東岸に位置し、豊な自然をもつ国である。
地中海からの湿った風がもたらす雨の恵みで
森林や草原が広がっているのだ。
この青々とした大地は、
東はイラクのチグリス・ユーフラテス川流域へ、
南はレバノン、イスラエル、ヨルダンへと続く。
これがいわゆる「肥沃な三日月地帯」だ。

世界で始めて農業が生まれたのも、
アルファベットの原形を生み出したのも、
ここシリアだと言われている。
東西の文明の十字路と呼ぶにふさわしい地に足を踏み入れたわけだ。

日本にいると、「中東=物騒」というイメージが強い。
シリア?
どこかきな臭い想像をすることだろう。
ただ、それは大きな誤解である。
日本ではどうしてもアメリカ寄りの報道がなされるため
悪い先入観が植え付けられてしまう。
実際、スリや置き引きのたぐいはほとんどない。
たまにタクシーでボラれる程度で、それは他国でも同じこと。
溢れんばかりのホスピタリティで、彼らは迎え入れてくれた。

 

シリアの優しさ

シリアはムスリムの国。
9月はラマダーンと呼ばれる断食月である。
太陽が昇っている間は食を絶たなければならないのだ。
ラタキアに着いたのは午後5時、
イミグレで2時間ほど待たされたため、
表に出るとすでにラマダンは明けていた。
「乗ってきなよ、タダだよ」
ワゴンの運転手が手招きする。
好意に甘え、広い港の外まで乗せてもらった。

 

「今日のラマダーンが終わったから急いで家に帰らなきゃ」

美味しい食事と家族が待っているそうだ。
港の外で車を降りると、
今度は客を乗せたタクシーが横づけしてきた。
2人の若者が窓からこう告げる。

「一緒に乗っていきなよ」

ガイドブックを若者に手渡し、
目当てのホテルを指差した。
彼はアラビア語で運転手とひと言、ふた言交わした後、
OK!といってガイドブックを返してくれた。
10分後、ホテルに到着。
お金を払おうとすると、彼らは
「GO、GO!」と笑っている。

え、いらないの?

どうせ通り道だから、ということか?
シュクラン!(ありがとう)と、両手を合わせて礼を述べた。

 

イフタールというもてなし

街はウキウキしてるように思えた。
これがラマダン明けの雰囲気なのだろうか?
お腹が減ったので、レストランを覗いていると、
食事中の客が食べ物を差し出してきた。

食べろ、食べろ!
そうゼスチャーする。

ボブスと呼ばれる薄焼きパンに包まれたチキン。
じゃあ、いただきます♪
うわぁ、美味しいよ!グー、GOOD!
親指を突き出すと、彼らも同じ仕草で笑っていた。
ヨーグルトで煮込んだシチュー?サラダ?
ちょっとしゃびしゃびのピラフ、
食べろ、食べろ!攻撃は終わらない。
あ、そう。遠慮しないよ~、覚悟!!

言葉は通じないけど、別に不便はない。
ただ親指を突き出せば、それだけでことは足りた。
どうやらこれが「イフタール」というヤツらしい。
ラマダーン明けの最初の食事はみんなで食べるのが楽しい。
それが彼らムスリムの考え方だ。

シリアの優しさを初日から味わった。
物価もトルコの半分~1/5と、懐にも優しい。
ホテルはエアコン付で450円だもの☆
日本ではあまり知られていないシリアの優しさ。
ちょっとだけ甘え上手になってみようと思う。

 

旅のカケラ/slideshow

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