一卵性双生児な国

トルコを離れ、19ヶ国目「キプロス」へ上陸した。

上陸? そう、キプロスは地中海に浮かぶ島国なので
トルコのタシュジュからフェリーでやって来たのだ。

 

地図で見つけた国

携帯している全世界地図でたまたま見つけたこの国。
「ビザ要らないじゃん!」
「じゃあ、行ってみよっか?」
と、とてもお気軽な気持ちで訪れてしまった。

キプロス…どこやねん!
と、ツッコミが聞こえてきそうなので少々解説を。

愛と美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)
の誕生の地として知られるキプロス。
ギリシア神話によると、女神アフロディーテは、
この島の海岸近くで、海水の泡の中から生まれたそうな。

キプロスは9000年の歴史を持ち、
美しく保たれた自然景観、静かな佇まいを残す集落、
過去の栄華を今に伝える文化遺産…。
と、賛美の声は尽きない。

街を歩いていても南国の香り高い
優雅な風景にうっとりするし、
行ったことないのにイッタリィア!を彷彿とさせる。

 

地図にない!?

そして面白い事実が1つ。
今、居るのは「北キプロス」。
ところが地図には載ってないし、
そもそもそんな国は存在しないんだよね。

というのも、
元は「キプロス共和国」として旗揚げしたものの、
ここに住んでいたギリシャ人とトルコ人が仲違い!
そこでトルコ人たちが

「今日から“北キプロス共和国”として独立する」

なんて言い出したから大変…。
島の真ん中に国境線を引き、
北キプロスと南キプロスに分裂しちゃったんだよね。

そりゃあ、ギリシャ人とトルコ人じゃ宗教が違うし、
トルコ人がラマダンで断食してる横で、
酒やタバコ、旨いものを食われちゃねぇ…。
でも国連も、世界の人々も
「独立します」って言ってもすぐには認めてくれないさ。
だから、現在のところ北キプロス共和国は
トルコにしか認められていない国なのである。

今、どこに居るの?
あぁ、北キプロス。
嘘おっしゃい!そんな国はありません!!
ってわけ…。(あぁ、ややこしい)

 

記憶に残る旅

ともあれ、おかしな国に来たもんだ。
首都は2つあるし、
お金もトルコリラとキプロスポンドがごちゃ混ぜ。
北と南は自由に行き来できないし、
パスポートに北キプロスのスタンプがあると
ギリシャに入れてもらえないし…。

 

トルコのタシュジュから
フェリーで2時間半(料金は約8000円)。
そこは北キプロスという地図には存在しない国。

 

記録よりも、記憶に残る旅を。
そう呟きながら、地中海を眺めている。

 

 

旅のカケラ/slideshow

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