真夏なのに気温10℃、
重たい雲の下を歩いて駅に向かう。
ここは日本から一番近いヨーロッパ、
ユジノサハリンスク。
アジアの面影
歩道には花や果物を売る人たちもいて
アジアの雰囲気を感じる。
読めない看板を目印に駅を探した。
なんとか駅にたどり着くと
隣接するバスターミナルを発見。
バスの運転手にコルサコフ?
と聞いて歩けば、あっちだよ、と
指差しリレーがはじまるので、
しばらく繰り返えせば目的のバスは見つかる。
ちょうど出発間際のバスに乗り込むことができた。
ユジノサハリンスク→コルサコフは、
約1時間で、運賃は135ルーブル(約250円)。
車窓からの景色は北海道のようで
針葉樹が茂る山道を快適に飛ばし、海の街が見えてきた。
コルサコフ
ここコルサコフは、アニワ湾に面する港の街。
稚内との国際船が発着する海の玄関口である。
日本統治時代は「大泊」と呼ばれていて、
街を散策していると、旧亜庭神社跡、旧王子製紙工場など往時の面影を見ることができた。
かの宮沢賢治も稚内からフェリーでこの地に降り立ったそうだ。
漆黒の宗谷海峡をゆく船の甲板で
雨に打たれながら、
最愛の妹トシの魂を追ったという。
その体験はのちに『銀河鉄道の夜』を生み出している。
ときおり小雨に打たれながら
ソヴィエト通りというメインストリートを
港に向かって歩く。
大きな街路樹が傘になってくれて助かる。
レトロなマンションが建ち並び、
いかにもソ連、という時代を感じる。
ボルシチと黒パン
雨が強くなってきたので、
ヴァルハットというレストランに逃げ込んだ。
メニューを見るも全てロシア語でまったく読めない。
こんなときはボルシチを頼むに限る。
やや薄味なスープに、黒パンを浸して空腹を満たした。
稚内公園、赤レンガの倉庫を抜けた先に線路を発見。
小さな駅があり、とても良い雰囲気だ。
近くには廃線跡もあり、すっかり時間の流れを感じるが、
この辺りは日本時代には栄町と呼ばれていて
ここ大泊で一番賑やかだったそうだ。
散策の終点は港を見下ろす高台に。
あいにくの天気だったが、
レトロな港街には少しモノトーンがかった
天気がよく似合っているような気がした。
キラキラやワクワクといった胸の高鳴りはないけれど、サハリンの旅は穏やかで、
しみじみと郷愁を味わえるよい時間が過ぎている。
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