キプロスの南北戦争

北キプロスの「ギルネ」にいる。

ホテルの部屋は最上階で、
180度窓に囲まれた開放的な空間。
窓の外には静かな地中海が広がっている。

 

リゾートな街

キプロスはトルコよりもさらに物価が高く、
宿探しも難航した。
5泊するから!という殺し文句が功を奏し、
100リラ(1泊あたり約2000円)で
この快適な空間を手に入れた。

レストランも1食あたり1000円は当たり前なので、
昨日からオール自炊。
とはいっても、キッチンもない部屋なので
ミニヒーターを使い、コップでパスタを茹で、
バターや塩コショウで味付けする程度。
そして、ソーセージや缶詰をメインに据えているが
値段の割には充分すぎると、とても満足している。

 

レフコーシャ

さて、本日はキプロス観光初日。
北キプロスの首都である、
「レフコーシャ」に出かけることにした。

レフコーシャは、フレンチゴシック建築や
オスマントルコ建築が今もなお残る街。
街の南部には、キプロスの南北を分ける
境界線「グリーン・ライン」が引かれている。
北キプロスはとても小さな国で、ガイドブックには
「鳥取県の半分程度」と書いてある。
とは言っても、
鳥取県の大きさがすぐに想像できる人も少ないと思うが…。

主要な街は3つで、それぞれバスで30分~1時間程度。
実際にギルネからレフコーシャは、
ミニバスで30分(約350円)だった。

 

オスマン朝の面影

街は円形の城壁に囲まれていた。
トルコのイスタンブールを小さくしたような街で、
道行く人はみな垢抜けている感じがした。
値札の表記はユーロに変わり、
お洒落なオープンカフェが幅をきかせている。
ただ、街の中心部はとても小さく、
10分も歩けば郊外へと出てしまった。

この街の見所は2つ。
1つは「ビュユック・ハン」で、かつての隊商宿である。
現在は回廊に店やギャラリーが軒を連ね、
人々の憩いの場となっていた。


もう1つは「セリミエ・ジャーミィ」。
柱や回廊にフレンチゴシックの面影が残り、
その威風堂々とした佇まいには目を奪われた。
中に入ってみると、祭壇の前でコーランを唱える人がいて
厳かな雰囲気に包まれていた。

このジャーミィはかつて、「聖ソフィア聖堂」と呼ばれる
キリスト教会であったが、
15世紀のオスマン朝(もちろんサンコンではない…)
占領以来ジャーミィ(モスク)となった。
キリスト教からイスラム教へと宗派がえさせられた
ちょっと変わった祈りの場なのである。
だから、内部には教会の面影がいくつも残っていた。

 

 

街を二分する国境線

最近わかってきたことだが、
1日の観光は4時間がベスト。
これ以上観光に時間を費やすと
疲れの方が記憶に残ってしまいよろしくない…。
仕事も遊びも集中力が大切なんだね。
頭に布を巻き、首には汗を拭うタオル。
1リットルのコーラを片手に街を彷徨った。

 

ある路地を抜けていくと、
軍の施設と柵が見えてきた。
そしてその横にはイミグレーション。
どうやらここが国境線らしい。

 

キプロスは南北に国が隔てられ、
北はトルコ、南はギリシャが実権を握っている。
そして両者の関係がよろしくないことから、
北キプロスから南キプロスに行くことはできないのだ。
(ちなみに逆はOK)

南キプロスには、ビーナスの誕生地をはじめとした
世界遺産に指定されている観光地が3つもある。
行けるものなら行ってみたい。

ダメもとで窓口で聞いてみた。
「EUパスポートを持っているか?」
Oh、No…。

青地に☆のギリシャ国旗が揺れていた。
ベルリンの壁が崩壊したように
キプロスの南北戦争はいつ終わるのだろうか?
ギリシャはキリスト教、トルコはイスラム教。
宗教の壁がある限り難しい問題なのだろうが…。

宿に帰り、5リットルの水をがぶ飲み。
地中海性の湿った熱風が身体にまとわりつく。
シャワー、シャワーと蛇口をひねるも水が出ない…。

Oh、No!

このホテル、昼は断水、夜は停電…。
格安リゾートは世知辛いのである(泣)

 

旅のカケラ/slideshow

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