モーゼ、海を渡る?

北キプロスは小さな国。
1つのホテルに留まって、そこを起点に動くと便利だ。

ギルネという、ちょっとハイカラさんが通りそうな
美しい港街に宿を構えて、観光に勤しむことにした。

 

城塞の街へ

本日の目的地は「カズィマウサ」。
実際、バス乗り場や案内標識には「マゴサ」と
綴られていることのほうが多い。
この旧市街は、堅牢な城塞に取り囲まれていて
出入口が分からないほど。
ヴェネツィア領時代の面影が色濃い街である。

ギルネからは1時間に1本のミニバスに乗る。
料金は6リラ(約600円)で、乗車時間は1時間ほどである。
車内はガラガラ。
アジアのバスなら、満席になるまで発車しないが
このバスはたった4人の乗客でも定時に動き出した。

カズィマウサは、ギルネから約40km、
北キプロスの東端にある港街である。
海が近いだけで、なぜか浮き浮きとした気分になり、
照りつける太陽も気にならない。
軒先で揺れる浮き輪がさらに気分を高める。

 

城塞をくぐり中世へ

城塞をくぐると、そこは中世の世界が待っていた。
ゴシック建築が美しい「ララ・ムスタファパシャ・ジャーミィ」、
夢の跡から当時を栄華が偲ばれる「ヴェネツィア宮殿」、
「聖ジョージ教会」や「双子教会」など、
未だ見ぬヴェネツィアを感じさせてくれた。

こういう雰囲気のある場所を歩いていると、
街全体が博物館、映画の中の世界、
とまあ、どこかで聞いたような謳い文句を、
つい口にしたくなるものだ。
だって他に例えようながないんだもの!
安っぽい言葉を並べたくない、そんな街。

街の外れにはシェイクスピアの戯劇『オセロ』
の舞台になった「オセロ塔」がある。
残念ながら“塔”とは名ばかりで、
すでに朽ち果ててしまっている。

にも関わらず、入場料が7リラ(約700円)!
これはいただけない…。
懐事情が厳しい昨今なので、道を聞くふりをして、
有名なレリーフだけチラ見してきた(笑

↑サン・マルコのライオンのレリーフ

 

シリアへの航路を探す

さて、この街に来たもう1つの理由がある。
実はここの港とシリアの「ラタキア」を
結ぶフェリーがあるらしい。
どうやら、最近就航したばかりのフェリーらしく、
手元にはあいまいな情報しかなかったため
それを確かめたい!
もし、そのフェリーに乗れればトルコに戻らずに
シリア入りすることができるのだから。

フェリー乗り場に行き、シリアに行きたい旨を告げると
「旅行代理店でチケットを購入するように」
という返事が返ってきた。
やっぱりあるんだ☆

 

しかし、片っ端から旅行代理店をあたるも、
ない、ない、ない…。
どこの代理店もこのフェリーを取り扱っていなかった。
断片的にではあるが、代理店の人たちから情報を集めた。
それをまとめると、
フェリーは確かに存在する。
今のところ週に1便のみだ。
出航時間は9時、12時、15時、21時と
それぞれ意見が食い違った。
でも「月曜日」というのはカタイようだ。

 

親切のリレー

しかし、まぁキプロスの人たちは親切なこと。
「うちではチケットを取り扱っていないから」と、
違う代理店を紹介してくれるし、電話で確認してくれるし、
中には、車で送ってくれる人まで。
テシェッキュル・エデリム!(ありがとう)
しか言えなくて申し訳ない…。

続いて「ツーリスト・インフォメーション」という
世界中に存在する観光案内所を訪ねた。
ここでも親切なスタッフに助けられた。
電話帳片手に電話をかけまくり、
ついにお目当ての代理店を探しあててくれたのだ。

「新市街の代理店にあるって。でもここからは遠いよ。
どうする?タクシーで行く?」

腹の調子が…いやいや懐の具合がね…(汗)
結局簡単な地図を書いてもらい、
見ず知らずの街を彷徨い歩く選択肢をチョイス。
「エフェム・ホリデー」
それが代理店の名だ。

旧市街からは片道5km、目印は大学らしい。
トルコ語で住所も書いてもらったので
“母を訪ねて三千里”すればなんとかなるでしょ。
あきらめの悪さに神様も根負けしたのか
その代理店はあっけなく見つかった。

 

海路でシリア

そして、開口一番「あるよ」(←ドラマHEROのマスター口調で)
北キプロス「カズィマウサ」発、
シリア「ラタキア」行きのチケットは
85リラ(約8500円)だった。
出発は9月1日(月)正午。
苦労して手に入れたチケットを握り締め、
会心の笑みで店を後にした。

難攻不落に見えた「海路でシリア」という砦を打ち破った。
まるでモーゼが海を真っ二つに割ったように
キプロスとシリアをつなぐ道がそこに姿を現した。
ただでさえ北キプロスに渡る日本人は少ないのだから、
このルートでシリア入りする日本人はこれまた稀少だろう。

20番目の国はすぐそこに迫っている。

 

旅のカケラ/slideshow

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