インドで出会い、インドで別れる

目が覚めてもバスの中だった。
昨夜8時にコルカタを出発したバスは、
夜通し走り続けて「シリグリ」を目指していた。

 

列車に揺られて

約12時間と言われていた乗車時間だったが、ここはインド。
もちろんあてにはしていない。
何気なく車窓を眺めていると
「シリグリ200km」の道路案内が!
バスの時速は約40km。こりゃあ、あと5時間はかかる計算だ…。

旅立ってからいくつのバスを乗り継いだだろう。
シンガポールを出発し、インドの果てまで来ている。
もの思いにふけりながら、
いつ目的地に着くのかわからないバスに揺られる時間が好きになった。

 

よし、ルート変更だ!

カバンからノートを取り出し、スケジュールを確認してみた。
ここからブータン、バングラデシュ、ネパールと3ヶ国を回るとなると
意外に時間が少ないことに気がついた。
本来ならシリグリからダージリンに向かい、
世界遺産に登録されているトイ・トレインに乗るつもりでいたのだが、
ここは思い切ってカットしたほうが良いのでは?
一度そう思い始めると、もう止まらない。
様々なケースを想定し、カレンダーを何度もなぞった。

よし、ルート変更だ!

ダージリンをあきらめ、まずはブータンを狙い、
そのまま夜行列車に飛び乗ってコルカタへ戻る。
そして、すぐにビザを申請してバングラデシュへ向かおう。

 

ひとときの別れ

旅は一瞬のひらめきが大切だと思う。
そのひらめきを様々な角度から推考し、最終的な決定を下す。
だから好きなだけ考えごとができるバスの時間が好きだ。

隣で眠っている相方のヒロを揺り起こし、
「シリグリから別行動にしよう」とおもむろに告げた。
驚いた顔なのか、寝起きでぼんやりしているのか、
「どうして?」と不思議がっていた。
まもなく日本へ一時帰国(本人いわく)する彼。
しかし、彼の帰国計画はまったく頓挫したまま…。
ここは早めに別れて、
お互いのペースで旅をすべきなのではないだろうか?
誰にも遠慮することなく。

「シリグリから北上すればダージリン。
東に向かえばブータン、西はネパール。
好きな道を選んで進むんだよ」
無責任に聞こえるだろうが、
この旅ではほとんど自己主張のない彼へのエールのつもりだ。
自分の行く末は、やっぱり自分で決めなきゃね。

結局、バスは21時間走り続けた。

 

大いなる始まり

 

ぐったりと疲れたが、ここからのひとり旅を思うと、
少しの淋しさと、大いなる始まりの予感で胸は高鳴った。
ホテルを決め、バスを確認し、帰りの列車予約も済ませた。

あぁ、ひとりって自由だなぁ。
ちょっと淋しいのが食事だが、
言葉の通じないおばあちゃんに見つめられながら
ニコニコとお腹いっぱい食べた。
インドで再会したヒロと再びインドで別れるとは…。

次の再会は1ヶ月後のデリー空港。
それまで彼はどんな旅をし、どう日本で過ごすのだろう?
そして自分もまたしかり。

 

旅のカケラ/slideshow

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