リトルアフリカ、80円

午前7時、
久々に携帯電話のアラームで起きた。
ここ最近は予定がなく、
自然に目が覚めるまで眠っていた。

 

ラストデー

アスワンに来て1週間、
ようやく迎えたラストデー。
明日はいよいよ「スーダン」へ向かう。

本日の予定、
それは対岸にある「ヌビア村」へ行くこと。
ヌビア村はリトルアフリカ!!
未だ見ぬアフリカの景色が広がっている。

真っ黒な人たち、日干しレンガや泥でできた家々、
そしてカラフルなデザイン…。
アスワン最後の観光地を、今日までとっておいた。
“ストロベリー オン ザ ショートケーキ”
イチゴは最後に食べる主義ですから(笑

 

対岸の島へ

 

対岸へは大きなモーターボートで渡る。
ローカルプライスは25ピアストル(約5円)だが、、
おそらく外国人価格を突っぱねてくるはずなので、
先制攻撃とばかりに2倍の料金
50ピアストル(約10円)を手渡した。
こうすればお互い気持ちよく交渉成立というわけだ。

ドドドド、、、鈍いノイズが響かせながら、
ボートは水面を滑って行く。
水鳥が進路を横切り、太陽のカケラが乱反射した。
キラリと。

対岸に着くと景色は一変した。
砂と緑の大地、
これこそ頭の中で描いていたアフリカだ…。

 

ドナドナになった―

乗合トラックの運ちゃんが窓から腕だけ出して
「乗れ、乗れ」と手招きする。
荷台によじのぼり、彼の頭上から
「ヌビア、ヌビアだよ」と、大声で伝えた。
親指が空を指す。OKの合図。

砂埃を巻き上げながら、荷馬車は行く。
そう、ドナドナになった―。

船着場からヌビア村まではおよそ2km、
村の中心で降ろしてもらった。
乗客を見ていると、
皆降りる際にお金を運転手に手渡していた。
50ピアストル(約10円)だった。
ここもスマートな会計をしたかったので、
倍額の1ポンド(約20円)をそっと手渡し、
シュクラン、笑顔で感謝の言葉を述べた。

村は青かった―。
壁が紫陽花色に塗られていた。
ヌビア文字が描かれていたり、
扉がカラフルだったり、
今までに見たことのない景観だった。
多彩な色使いなのに、素朴な家々。
アフリカの鼓動が聞こえ始めた。

うん、いいよ♪
はじまったね、アフリカ。
人は黒いし、
家も素朴でかわいい、
ロバも似合う。

 

やり直し

 

“旅”から“冒険”へのシフトチェンジ。
ウエルカム トウ アッフリカ☆
村を散策し、
チャイをごちそうになり、
子どもらにバクシーシ(喜捨)をねだられ、
照りつける太陽に炙られた。

帰り道、腕をピンと水平に伸ばして
手をヒラヒラさせると、
乗合トラックがキキ~っと停車した。
荷台によじのぼり、ドナドナになる。
風に身を任せ、心を遊ばせ、瞳を空に投げた。

ん!?
カーブをひとつ切ると、
ふいに村の全景が開けた。
もっと、もっと、青が広がった。
わぁ、、やべえ…☆

急いでカメラを構えるも、
揺れでピントが合わない、、、
そのまま、村はカーブの向こうに消えた。

船着場に降り立ち、
未練のやり場に1分立ち止まった。
時計を見ると午前11時、
考えるまでもないや。
「運ちゃん、もう1回」
あの“青”を目指して、やり直しだ。

たった80円で、
こんなにもワクワクした冒険を手に入れた。

 

旅のカケラ/slideshow

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