何しに来たんだろう?

エルサルバドルの首都「サンサルバドル」。
中米一の人口過密都市である。
実にエルサルバドルの人口の3分の1が住んでいるため
国富の半分が集中し、経済の中心となっている。

 

首都サンサルバドル

この街の歴史的建造物は地震やスペインの侵略により
ほとんど残されていないのが残念。
一言で言うなら味気ない街である
観光資源も少ないエルサルバドルだが、
「ホヤ・デ・セレン」という世界遺産に登録されているマヤ遺跡がある。

ここは古典期後期の集落遺跡で、
「中米のポンペイ」とも呼ばれている。
歴史的な価値は高いものの、実際は肩すかしらしいが
なかなか来れる国でもないし、行っておきたい。

が!!
今日は月曜日で遺跡は休みだった…。
(遺跡に定休日があるなんて)
いよいよ何しに来たのかわからなくなってきた。

 

セントロで街歩き

ネットで他の観光情報を調べてみると
中米最大のショッピングモール
「メトロ・セントロ」がおススメされていた。
うーん、微妙…。
まぁ、このまま宿にいても仕方ないので
とりあえず街の中心まで出かけてみよう。

サンサルバドルはすこぶる治安が悪いらしい。
日中歩いていても危険な空気は感じられないが
ガイドブックには口酸っぱく「気をつけろ」と書いてあるので
小さなカメラを懐に忍ばせて出かけた。

バスに乗り、セントロ(中心街)に向かう。
中米の旧市街はたいていど真ん中にカテドラルがあり
そこを中心に市が立ち開けている。
「カテドラル・メトロポリターナ」
と運転手に告げ、目的地で降ろしてもらった。

 

カテドラル・メトロポリターナ

これまで見てきたカテドラルと雰囲気が違い小綺麗。
それもそのはず、解説によると
1986年、2001年と2回の大地震で被害を受け
綺麗に修復されたそうだ。

でも中に入ってみると、歴史を感じる荘厳な空間が広がっていて
天井を見上げて立ち尽くしてしまった。
音と光が高い天井に吸い込まれていく感じ。
美しいステンドグラス、宗教美術、人々の祈り…
外の喧騒から隔離されたとても神聖な場所だった。

周辺には野菜や肉、日用雑貨の市が立っている。
路地いっぱいに店を広げ、活気に満ちていた。
カテドラルが静ならここは動。
生きているエネルギーが気持ちいい。
用はないが、街の人々に混じって商店を覗く。
チーノ、チーノ(中国人)と言われながら。

↑元反政府武装組織FMLNも小さなテナントを出していた

「違うよ、ハポネス(日本人)だよ」
お、ジャッキーチェンか?
いやそれは香港だからチーノ。
カワサキ、ホンダ、トヨタ、ソニーだよ。
著名人でないのがちょっと悲しい。
中米ではトヨタよりも
カワサキ、ホンダのほうが有名だ。
車を所有している人が少ないのだろう。
また、ときおり野球の話も出る。
サッカーに並んで野球も人気が高く、
WBCで日本が2連覇したことを褒められる。

 

ただ日常の中にいる

2時間も歩いていると
だいたい街の構図を覚えてしまう。
旧市街と言えども街の古さを感じないので
神保町か神田を歩いている気分だった。

この街で目を引いたのは路上DVD屋くらいで
海賊版DVDが通り一面に並べられている。
1枚1ドル。
決して安くはないがツタヤがない国だから
みなこうした路上で買っていく。
驚くほど回転が早く、日本じゃ公開前の映画もある。
試しにと、エクアドルで購入してみたが
再生に問題はないし、中には日本語吹き替えもあった。
もちろん違法だけどね(笑

DVDを選びながらハっと我に返る。
何しに来たんだ?
見所の少ない中米の旅は、すっかり住人と化している。
マックで食事をしてるし、宿ではDVDを見て過ごしている。
なんだか旅が終わってしまったような気分だ。
ムキになって無理やり観光しても意味がないけど
どうもスタイルが変わってきたような…。
いかんいかん。
早くこの国も抜けて観光立国「グアテマラ」へ行こう。

ニカラグアにつづき、エルサルバドルも
足跡だけ残して去っていく。

 

旅のカケラ/slideshow

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