サンホセは、かつては重要性のない小さな村だったそうだ。
1824年にスペインの植民都市であったカルタゴから
ここサン・ホセに政庁を移すことになり、街は急成長を遂げた。
退屈な街
18世紀半ばに都市の起源を持つサン・ホセは、
他のラテンアメリカの首都と異なり
スペインの植民都市の雰囲気、
つまりコロニアルな建築を全く見かけない。
なんだか歩いていても、異国情緒を感じないので淋しい。
何度も日記に綴っているが
ここ最近は旧市街がお気に入り。
街角の教会や石畳の道、
いくつも路地を抜けてその先にどんな景色が広がるかを
楽しみに歩き回っている。
馬車に追い越され、鐘の音が響き、無数の鳩が空に舞う。
そんな情景がたまらなく好きだ。
でも、サン・ホセにはなかった…。
カルタゴ
そこでバスに乗り、
かつての首都「カルタゴ」に向かうことにした。
コロニアル時代を最も色濃く残しているカルタゴ、
遺跡やコーヒー農園、大聖堂など、
サンホセからちょっと出るだけで全く違う町のように感じられる。
バスで30分、澄んだ空気の小さな町に降り立った。
この町で見逃せないのが「ロス・アンヘレス大聖堂」。
奇跡の聖母伝説が伝わるビザンチン様式の教会である。
ここには“黒いマリア像”が祀ってあり、
このマリア像には不思議な伝説がある。
およそ350年前、ある少女が黒いマリア像を見つけ
家に持ち帰ったところ、いつの間にか像は姿を消してしまい
元あった場所に戻っていたという。
この現象が繰り返されたため、マリア像があった場所に教会を建て
現在のロス・アンヘレス大聖堂に至るというわけ。
マリア像は礼拝堂に安置されていたが
とても小さく、よくわからなかった。
コスタリカの休日にぶつかってしまったようで
店はほとんどがシャッターを閉めていた。
せっかく町並みを楽しみに訪れたのに少し残念。
まだ昼前なのでもう少し遠出することにしよう。
渓谷を歩く
バスに乗って「オロシ」という町を目指した。
山をぐんぐん上り、眼下にきれいな渓谷が姿を現した。
町への途中に展望台(Orosi Mirador)があったので
そこでバスを降り、芝生の丘に寝転んだ。
風は秋、空が高くて心地いい。
ピクニックをしている家族連れが多く、
目を閉じると、代々木公園にいるような感じがする。
「どんどん日本に近づいてるよ」
オロシの町まで歩いて向かおうとしたが
1時間経っても町に着かない。
意外と遠いな…そう思いながらもうしばらく行くと
「オロシ 3km」の看板が現れた。
あと40分か、バスに乗っちゃうか。
そうこうしているうちに毎時1本のバスがやってきた。
手をひらひらさせてバスを停め、
「オロシ」と言いながら乗り込んだ
小さな町・オロシ
オロシもまた小さな町で、コーヒー農園に囲まれていた。
そうか、コスタリカはコーヒーも有名だったね。
静かな町を1時間ほど歩き、
オロシからカルタゴ、カルタゴからサン・ホセへと
バスを乗り継いで宿に戻った。
心躍るような旧市街には出会えなかったが、
心癒される素朴な町並みが楽しめた。
旅に出てからの娯楽は観光のみ。
何を求めて出かけているのか正直わからないが
それでも毎日が新鮮で刺激的。
「行けるかな?」
パズルのピースをはめるように
バスを乗り継ぎ、町をさまよう。
そんな繰り返しがゲームみたいで楽しい。
旅は何かを劇的に変えてくれるほど甘くはないが
小さな積み重ねが心を豊かにしてくれる気がする。
もっと、もっと。
その路地の先には何があるんだろう?
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