終わりへの旅

寝苦しい夜を越え、暑い暑い朝を迎えた。
新しい国に来たからか、終わりを予感してなのか、
昨夜は浅い眠りを繰り返した。

 

はじまりはパナマ

胸騒ぎのような、でもウキウキした気分。
“はじまり”ってなんだか楽しい。
たとえそれが終わりへの1歩だとしても。
最終章『中米編』はパナマからはじまる。

どうも治安の悪い国というイメージが先行するが
宿の主人いわく、
「新市街は中米で一番安全さ!」
へぇ、そうなの?
じゃあ今日は一眼レフを持っていくことにしよう。
太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河のある首都パナマシティー。
この街はスペイン植民地時代より世界の十字路の役割を果たしてきた。

 

運河を見に行こう!

パナマと言えば何をさておいても「パナマ運河」。
これを見なけりゃ始まらない!
バスを乗り継ぎ、
パナマ運河の1つである「ミラフローレス水門」に急いだ。

パナマ運河とは、パナマ地峡を開削して
太平洋とカリブ海を結んでいる閘門式運河で、
全長約80km、最小幅192mだそうだ。
10年の歳月をかけて1914年に開通した世界一有名な運河。
ただ最近では、通航量の増大や船舶の大型化の流れを受けて
受入れ能力の限界が危惧されていて、
総事業費52億ドルをかけて新たに第3レーンの着工を始めたそうだ。
竣工予定は2014年、
現在の2倍の約6億トンの航行量を見込むという。

ミラフローレス水門は、入場料5ドル。
運河の仕組みがよくわかるようにと観覧席が設けられ、
スペイン語と英語による歴史や構造の解説もある。
汽笛が聞こえたので急いで屋上に駆け上がると
ちょうど大きな船が入港していた。

 

ミラフローレス水門

運河は想像以上に狭く、
ギリギリのところを船が通過していく。
ここでは船が自力で航行できないためだろうか、
電気機関車を用いて船を牽引していて
両側の機関車からそれぞれワイヤーで引っ張っていた。

ゆっくりゆっくりと進む船。
運河はダムのようになっていて、水位を上げて船を通過させるために
閘門を採用している。
上り下りにそれぞれ3段階、
待ち時間を含め約24時間をかけて通過させる仕組みだ。
なんて気の長い作業…。
それでもアメリカ大陸を迂回することを考えれば
ものすごいショートカットだけどね。

 

最高額と最低額

当時の額で3億8700万ドルをかけ、
人類史上最大の土木工事と言われたこの運河。
気になるのは通行料だ。
調べてみると、
船の重量1トンに対して1ドル39セント、
平均しておよそ54000ドルだとか。
540万円かぁ…高っ!!

ちなみにこれまで最も高額の通行料を支払った船舶は
豪華客船「コーラルプリンセス」号の226194ドル(約2200万円)で、
最も低額だったのは、
パナマ運河を泳いで通過したという
冒険家リチャード・ハリバートンが支払った36セントである。
泳ぐって…おいおい。

いやぁお腹いっぱい。いい社会見学だった。
運河を後にし、今度は世界遺産めぐりへと出かけた。
バス路線がよくわからないし、
道を聞きたくてもスペイン語ができないため
毎回バスターミナルを基点に目的地に出かけることにした。
おかげでこの日乗ったバスの本数は7本。
あ、さっき通ったじゃん!ここ。
と、呟きながらもローカルバスを目いっぱい楽しんだ。
※運賃は1回につき25セント

(つづく)

 

旅のカケラ/slideshow

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