ここはラオスのシェンクアン。
夜は停電になり、町は真っ暗になる。
「出歩かないように」
と宿の人にそう言われたが、
この暗さは尋常じゃない!
心配しなくてもとても出歩けませんから。
バナナフライ
旅を始めてからヤミツキになっているものがある。
それは「バナナフライ」。
サクサクの衣に包まれたバナナは、
香ばしさのなかに、甘ぁく、やさしい食感が混在。
揚げたてを、ほふほふしながら口に運ぶ幸せ。
これ絶対日本でも売れるよ!
が最近の口癖。
おもちゃ箱をひっくり返したような
にぎやかで色鮮やかな市場を後にし、
部屋で早めの夕食(カップ麺とパン)をとる。
活字が恋しい
あとは読書。今は「よしもとばなな」を読んでいる。
そう、今日は“バナナ”つながりの日記。
海外にいると無性に活字が恋しくなるもので、
やっと手に入れた1冊。
あーもったいない!と思いながら
1ページ、1ページとめくっていく。
ときどき本を水平にして、
あとこれだけか…と、切なくもなる。
「時は去ってしまう。それでも僕の中の
わけのわからない情熱がうごめく瞬間を待っている。
僕はいつでもどこでも待っている。
そしてこうしてたまにやってくるから、生きていける。
明日の僕もそう思うだろう。
動いていく世界を聴き続けること以外は、
何もできないと。」
そう締めくくられた物語。
あぁ、まさしくその通りだ。
“あたりまえ”に守られていた日々
思い返せば、出発前は
「楽しくて仕方ない!」と、
想像していたこの旅。
いざ始まってみると、
不便なことや困難だらけ。通じない英語、
1本のコーラさえ我慢する切り詰めた生活。
あぁ、梅干が食べたい!
吉牛に行きたい!
って何度ぼやいたことだろう。
冷たい水シャワーに震え、
アリや蚊に悩まされながら眠った。
35度を超える猛暑、
エアコンのないバスにも詰め込まれた。
“あたりまえ”に守られていた日々を
180度捻じ曲げ、
自ら飛び込んだこの世界。
だから、毎日のように情熱がうごめく瞬間がやってくる。
だから、旅が続けられる。
終わりがあるから…
この広い世界を、
ページをめくるように1日、1日と過ごしていく。
この先、カレンダーや世界地図を見ては、
あとこれだけか…と、ため息をつくことだろう。
終わりがあるから毎日がいとおしくて仕方ない。
永遠につづく物語なんてきっと誰も読まないはずだから。
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