夜明けの雨

窓を激しく打ちつける雨音。
バケツをひっくり返したような、
いや、そんな表現じゃ物足りない…。
時刻は午前5時。
ラオスの首都、ビエンチャンの朝は、
けたたましい雨音で始まった。

こんな時間にスコールがあるものだろうか?
まどろみながら、
窓に背を向けるように寝返りを打った。

バギバギバギッ…!

今度は地を裂くような破裂音が襲う。
雷だ。その光は夢と現実を行き来するような
まるでフラッシュバック。
壊れたストロボのごとく、
止まない閃光が部屋を照らし続けた…。

事態は深刻のようだった。
日本では経験したことのないような豪雨と雷。
現地の人にとっても、
予想外のできごとのようだ。
一斉に部屋の明かりが灯り、
ロビーに人だかりができた。

空が割れて、水が溢れ出す。
壁にもたれ、壊れた空を思う。
温まり過ぎた地球の苦しみを。

 

森の都

ここビエンチャンは2つの顔を併せ持つ。
「森の都」と呼ばれるほどのどかな昼の顔、
そして、アジアの夜が街を包み込むと、
街角にはたくさんの娼婦が立ち、
ハシシ、ガンジャ、ハッパと、
様々な呼び名でクスリをさばく男たちが現れる。
そんな夜の顔。

クスリや快楽に溺れ、
酩酊する街を洗い流すような夜明けの雨。

今日も空には太陽が昇り、
未来を夢見る子どもたちを照らす。
発展の陰で混沌や矛盾を受け入れながら、
ラオスはどんな未来を描いていくのだろう?

 

旅のカケラ/slideshow

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