ありえないバス

ラオスの首都ビエンチャン。
予想を超える物価の高さに「ここに長居は無用!」と、
さっさと田舎を目指すことにした。

 

その目的地に選んだのが「シェンクアン」。
ついでに宿代も浮かせてしまえ、
と夜行バスでの移動を試みた。
しかし、ラオスのバスを甘くみてはいけなかった…。

 

バスターミナル

 

19時発シェンクアン行き。
チケットを購入すると、
水、おしぼり、お菓子が手渡された。

 

気が利くねぇ。

上機嫌でバスに乗り込んださ。
座席番号は20番。
おや、すでに誰かが座っている?

「あのぉ…」

チケットを見せ、ここは自分の席だとアピール。
しかし、おじさんは笑ってごまかすばかり。
もう!
通りかかった車掌にチケットを見せる。
するとおじさんと車掌が口論を始めるではないか…。
ラオス語だから、バミー、ミャマーとしか聞こえないが、
どうやら友達が近くにいるから
この席がいい、とゴネてる様子。

周囲の人も席を移動するよう、
バミー、ミャマーと叫びだす。
それでも笑顔で頑なに席をゆずらない。
ため息をつきながら、違う席を案内してくれた車掌。
ラオス人って頑固だ。そして子どもっぽい…。

席に着くと同時にバスは走り出した。
するとすぐにガソリンスタンドへ。
もう、出発前に入れればいいのに!
20分近く動かなかった。

 

出発したけど…

ようやく走り出したかと思いきや
今度は屋台の前でバスが急停止。
運転手と車掌が嬉しそうに夜食を選びはじめた。
客もぞろぞろと後につづく。
もう、出発前に買えばいいのに!
またもや20分近く動かなかった…。

走り始めても、ローカルバスと同じように
次々と乗客を乗せる。
バス停なんてものはない。
人がいるとクラクションを鳴らし、
「乗れ、乗れ」と合図するのだ。

いつしかバスは満席。
すると、車掌が通路に丸イスを並べ始めた。
急遽、補助席を作ってさらなる乗客を募る。

12時間の夜行バスだよ!?

 

満員バス

挙句には立ったまま朝を迎える人も現れる始末…
地獄だ。
エアコン完備ながら、
なぜか窓を閉めようとしないラオス人。
強風が車内を襲う。
しかも舗装されていない道を走るものだから
砂埃がひどい…。
口の中がザラつく。

うとうとし始めた22時、
今度は大音量のラオスミュージックが
スピーカーから流れ出した。
それも同じ曲を延々とリピート。
この無限地獄に、曲を口ずさめてしまう自分が悲しい…。

ついに深夜12時。またもや屋台に停車。
今度は席に座って食事を始める運転手&車掌。
またもや乗客が後につづく。
(さっき食べたじゃん!)

道端でリンゴをかじりながら、
「ありえない…」とひとり夜空に呟いた。
鉄道がなく、飛行機は高すぎるラオス。

もしこの国を旅するなら、パスポートと一緒に
こんなバスに耐えうる根性を用意しよう。

 

旅のカケラ/slideshow

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