午前9時、タクシーブルースを降りた。
う~ん、と低く唸りながら伸びをひとつ。
久々に17時間という辛い移動をした。
特等席をGET
「ムルンダヴァ」
童話『星の王子さま』に登場するバオバブの木が有名で、
その群生地があり、通称バオバブ街道と呼ばれている。
中心地は海岸に近く、魚介類が豊富。翡翠色した海岸線が美しく、
絶え間なく往来する帆船がノスタルジックだ。
まずは帰りのタクシーブルースを予約すべく
窓口(といってもただの掘っ立て小屋)に向かった。
着いたばかりで、帰りのことを考えるのも嫌だったが、
ある作戦があった。
「助手席に乗りたい!」
チケットには“SP”、スペシャルと記されていた。
そりゃそうだ、
後ろは3人がけを4人で使うのだから…。
10日、助手席、ハウマッチ?
フランス語圏なので、英語は通じにくい。
カレンダーを見せながら、財布を指差しながら
会話を進めていった。
係員はノートをめくり、10日の欄を見せてくれた。
シートは白紙、つまりまだ予約が入っていない。
ここ、ここ!と、SPと書かれたシートを指し、
KAZと名前を書いた。
半額分のお金を払い、領収書を受け取る。
やった、助手席GET!
おかしなことに、金額は前も後ろも同じだった。
特別料金ではなく、早い者勝ちという意味のスペシャルか。
領収書を大事に財布にしまい、
これで少しは気持ちが楽になった。
白砂の町
海からの砂浜がつづいているような町で、
サンダルに焼けた砂が入る。
車が通れば辺りは真っ白。
そして、じりじりと太陽が身を焦がす…。
町の中心にある
「メナベ」というホテルに宿を構えた。
1泊720円、まぁ予算内。
老朽化は否めないが、部屋は清潔だった。
テラスに出て町を見下ろす。
んー、なんか違うんだよな…。
ここムルンダヴァに寄せる期待は大きい。
4泊もするのだからロケーションにこだわりたい。
荷物を置いて、宿を飛び出し
海辺へと足を向けた。
ビーチに建つ一軒家
海岸線を歩いていると
ホテルのゲートを見つけた。
でも、これがちょっと変。
ゲートは砂浜にポツンと建ち、
肝心のホテルがない…。
ゲートをくぐり砂浜を歩いて行くと
想像していた場所についた。
こんなバンガローを待っていた☆
ビーチに建つ一軒家。
窓の外は翡翠色した美しい海。
星明りのライト、波音のBGM、
潮の香りが“果て”を演出する。
値段も手ごろで1泊900円。
潮騒がBGM
「ここ予約ね!いい?3泊だよ」
明日の10時にチェックインする約束をとりつけた。
“SP”、ここもまたスペシャルである。
“特別”を見つけることは
何も特別なことじゃない。
ただ、思い描いた青写真を探すだけ。
何を願うか?
それを見定めていれば、
ものごとは特別になっていく。
Everything、It’s you って具合に。
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