さよなら、文明

首都アディス・アベバを経ち、
約250km先の街
「シャシャマネ」へとやって来た。
文明とはしばしのお別れである。

 

荷物係との闘い

相変わらずの早朝出発と狭い車内、
それに加え今回はもうひとつの敵が現れた。
小悪党の荷物係だ。
大きなバックパックはたいてい屋根に積まれる。
梯子を上ってバスの屋根にくくりつけるのだが、
悪質なバススタッフはここで金をせびる。

アディス・アベバ→シャシャマネの運賃が
36ブル(約360円)なのに対し、
荷物代は20ブル(約200円)だと言い放った。
ふざけた話だ!

頑なに拒否し、
「じゃあ他の人のレシートを見せろ」と要求すると、
たしかにそこには20ブルと書いてあった。
闇協定である。

彼から少し距離を置き、再び見の態勢。
そして、ついに動かぬ証拠を見つけた。
「ちょっと待て!」
レシートを手渡そうとしたスタッフの腕をつかんだ。
「5ブルって書いてあるじゃん!嘘つき!!」
苦笑いのスタッフ。
OK、5ブルにしてやる、と
彼らはあくまで上から目線。
まぁ、いつものことなので
今さら腹は立たないが…まったく。

 

シャシャマネ

5時間バスに揺られ、
正午前にはシャシャマネに着いた。
屋根から荷物を下ろす際、再び金をせびられた。
はいはいと、レシートを見せるも、
それは有効じゃない、と
訳のわからない御託を並べる。
ホントにこいつらは!
荷物を担ぎ、無視してその場を去った。

シャシャマネに来た理由は2つ。
1つは、
今目指している「ジンカ」の村への中継地点として。
もう1つは、
ラスタ教の聖地を、ひと目見てみたかったためである。

 

ラスタ村に足を運ぶ

ラスタ村は1930年代に
ハイレ・セラシエ皇帝によって土地を与えられた
ジャマイカ人のラスタファリアンが、
独自のコミュニティーを作り暮らしている場所。
そのハイレ・セラシエ皇帝をキリストの再来と
信じる新興宗教がラスタ教である。
かのボブ・マーリーもその1人だとか。
地元ではジャマイカン・ビレッジと呼ばれていた。

そこにあるナイアビンギ教会へと足を踏み入れた。
ラスタカラーと呼ばれる、
赤、緑、黄で教会は構成されていた。
皇帝の絵がいくつも飾ってあり、
ありがたみというよりは、
オシャレなバーを彷彿とした。
それもそのはず。
毎週土曜日に行われるミサは、
祈るのではなく、歌い踊るのが彼らの流儀。
底抜けに明るい宗教なのだ。
教会にいた人たちはみな、ドレッドヘアで
どこから見てもレゲエシンガーだった(笑

 

髪を切る

 

ラスタ村を後にすると、
この街に観光スポットは見当たらない。
早々に宿へと引き返し、
部屋から椅子を持ち出して
中庭でのんびりと日光浴をした。

ずいぶんと髪が伸びてきたので
鏡に向かい、チョキチョキとハサミを入れた。
後ろは自分で切れなかったのでお願いした。

「あ、やべっ…」(ヒロくん)
「え、なになに?」(カズ)
「いや、なんでもないっす。
めっちゃ切れますね、このハサミ」(ヒロくん)
「ちょ、ちょっと切りすぎじゃない?
すきバサミ使いなよ…」(カズ)
「フフフ」(ヒロくん)
「な、何?なんで今笑ったの?」(カズ)

そんなやりとりをしながら15分、
前髪と後髪がさっぱりとなくなった…。
鏡の中の自分にちょっと戸惑いながらも、
ありでしょ、あり!
と、言い聞かせた(笑
それじゃ、記念撮影を…

 

旅のカケラ/slideshow

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