フユタビ ’15(コーカサス編) ♯07 幻聴

午前7時、今日も夜明け前の街に出る。

ジョージアの首都トビリシ。
街の中心にはムトゥクヴァリ川が流れていて
こいつを目印にすれば迷子にならない。
メトロも2路線だけなのでわかりやすい。

 

トビリシはまだ夜明け前

午後にはジョージアをあとにするので
今日は夜明け前から旧市街にある
教会巡りを楽しむことにした。
風が冷たく、カメラを持つ手がかじかんだ。

シオニ教会、でっかいなぁ…と、感心しながら、
写真を撮りまくっていたが
どうやら間違っていたようだ。
文字は読めないし、誰かに聞こうにも
時間が早すぎたようで通りに人の気配はない。
地図を確かめるとここは聖エチミアジン教会かな?

誰もいない教会は当然扉が閉まっていたので
その美しい外観を眺めて思いを馳せた。
誰もいない時間なので、ますなす神聖な気分に浸れる。

 

シオ二大聖堂とメテヒ教会

トビリシには無数に教会があり、
どれも立派な佇まいで見ごたえがある。
そして、正しいシオ二大聖堂に到着。

中世ジョージアからの伝統に従い、
シオニ大聖堂はエルサレムのシオン山の名を冠している。
イベリア王国時代に完成し、
いくどの混乱と破壊のたびに修復を繰り返した。

中に入るとちょうどミサが行われていた。
凛とした朝に響く、
ハイトーンボイスの賛美歌が心地よい。
旅をしていると今日が何日なのか忘れがちだが、
年末っぽくていい雰囲気だった。

つづいてメテヒ教会。
切り立った崖の上に建つ印象的な教会だった。
なぜかジョージアは崖や山頂に
教会を建てるのが好きだよね。
これって世界共通なのかな?
旧市街が見渡せて絶好の撮影スポットだった。

メテヒ教会は5世紀にこの場所に建てられたが、
モンゴルの侵略時に破壊され、1200年代後半に再建された。
幾多の戦乱と王朝を見守ってきた教会である。

 

残された時間

タイムリミットが近づいてきたので、
最後は旧市街で雑貨めぐりをすることにした。

ゴルガサリ広場の周辺は土産屋や
レストランが建ち並ぶツーリストエリア。
ナリカラ要塞を目指して少し坂を登ると
古い町並みや細い路地が現れた。
アバノトゥバニと呼ばれる公衆浴場も味がある。

アゼルバイジャンのバクー旧市街みたいに
キレイな町並みではなかったが、
生活感が漂う昔ながらの景色が楽しめた。

 

ところで、お店の軒先にぶら下がっている
ツララのようなものをよく目にする。
チュルチュヘラと呼ばれるお菓子らしく、
ここジョージアでは毎年秋に作られているそうだ。
くるみを紐で通し、
周りをぶどうジュースと小麦粉を混ぜたもので覆い、
乾燥させて棒状にする。

試しに買ってみた。
1本はさすがに多いので、
3ラリ(約180円)を渡すと
20センチほどの長さに切ってくれた。

見た目はあまりよろしくなく、
色の悪いソーセージのようだったが
ぶどうの甘さに、くるみの香ばしさが
うまく混じりあってとにかく旨い!
お土産に持って帰りたかったが、
ベタベタするのが難点だったのであきらめた。

よし、これにてジョージアは完結!っと。

 

次なる国へ冒険は続く

荷物を抱えヴァグズリス・モエダニに向かい、
アルメニア行きのバスを探すことにした。
いつものように目的地を連呼して歩くと
人から人へと指差しパスがつながった。

無事にお目当てのバスにたどり着いたが、
予定時刻を過ぎても人が集まらないからか
いっこうに出発の気配はない。
不安げにバスの近くをウロウロしていると、
バス会社のスタッフらしき人が
キャンピングカーを利用した事務所で
待たせてくれることになった。
言葉は通じないが優しい人たちだ。

買ってきたパニーニを広げ、チャイを飲み、
なるようになるさ、と身を任せた。
でも、宿に着くのは何時になるのだろう?
国境は夜でも通れるよね?

不安のような、楽しみのような笑
これだから 旅は面白い。

 

旅のカケラ/slideshow

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