ハルタビ ’16(ペルシャ編) ♯5 UNIVERSAL

イランの秘境、サルアガセイエッド。
ここに行くことがこの旅の目的だった。

出発前にたまたまネットで見つけた情報だったが、
500人くらいの小さな集落で
山の斜面に長屋のような家々が連なり、
屋根を道路として利用しているという。

 

交通手段はどうする?

ガイドブックにも紹介されておらず、
ネットの情報を頼りにバスを4本乗り継ぐか、
車をチャーターして向かうか。
なかなか難易度が高そうでワクワクしてきた。

選んだのは後者。宿で車を依頼したが、
イラン人でさえも場所がわからず、
地図で一生懸命探してくれた。
幸い日本人が多く泊っている宿だったので、
何人かに声をかけたところ2人の同行者ができた。

実は出発までにひと悶着があった。
前日に予約しておいたドライバーが
まさかのドタキャン!
まぁ、いわゆる海外あるある。
宿のスタッフに頼んで、
急いで別のドライバーを確保してもらい出発に漕ぎつけた。

 

陽気なドライバー「チェック!」

7時半、出発!
エスファハン→シャーレコード→ファルサン
→チェルガード→サルアガセイエッド
これが本日のルート。片道350㎞らしい。

車内は爆音のイランミュージックで、
何度ボリュームを下げても
指をパッチンとしながらリズムをとり
爆音に戻すドライバー。とほほ…。

でも、よくもまぁ当日、しかも
今から1時間後に700㎞走ってくれ、
と言われてOKするものだ。
こうしたバイタリティにはつくづく感心する。

愉快で我が道を行くドライバー。
路面店に立ち寄っては、勝手に商品をパクパク。
「さぁ、お食べ」と、
得意顔で差し出してくるしw

数キロ走っては、
チェック!と言って車を停め、
勝手に試食を繰り返す。

ドライフルーツ、チーズ、トマト…
チェック! チェック! チェック!

 

不穏な空気が漂う

ファルサンからチェルガードに入る頃、
車窓は牧歌的な景色に変わった。
高まる期待。
窓を開けて夢中でシャッターを切る。

春風に吹かれているようで心地いい。
ここがどこかもわからず、
もう一度来たいと思っても絶対に叶わないだろう場所。
旅はすべてが一瞬一瞬で終わってしまうので
心からこの習慣を大切にしたいと思った。

チェルガードの町を過ぎ、道を聞くドライバー。
数分後、あきらかにテンションが下がっていた。
爆音の音楽を停め、ケータイで話し始める。

なぜか警察も登場…。
なにやら嫌な予感がする。

「道が通行止めだったりしてねw」
そんな冗談を車内で呟いていた。

(つづく)

 

旅のカケラ/slideshow

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