最大で、最後の遺跡

「テオティワカン」は、紀元前2世紀から6世紀まで存在した
ラテンアメリカ最大の宗教都市遺跡である。

 

タイムトラベラー

最盛期には20万人を超える人々が住んでいたといわれていて
マヤもトルテカもアステカも
テオティワカン抜きには語ることが出来ない。
いろんな遺跡を見てきたが、この旅の最後の遺跡。
とっておきのフィナーレ。

メキシコシティの北バスターミナルから
15分置きにバスは頻発している。

■所要1時間、運賃は33ペソ(約270円)

いつからこんなにも遺跡好きになったのだろう?
朽ち果てた廃墟に、古代のロマンが掻き立てられる。
今日はどんなタイムトリップが待ってるのかと心がせく。

アンコールワット、アユタヤ、スコータイ、ボルブドゥール、
東南アジアでは移り変わる王朝を見てきた。

中国では三蔵法師の旅路を辿り、
インド、ネパールでは仏陀の道を辿った。
パルミラ、バールベック、ぺトラ…
中東の遺跡は砂漠に悠然とその姿を現す。

ピラミッドや王家の谷、アブシンベル大神殿…
エジプトは考古学のるつぼだった。
エチオピアのラリベラ岩窟教会、ジンバブエのグレートジンバブエ遺跡、
数は少ないがアフリカの遺跡も趣き深い。

南米ではイースター島のモアイ、
マチュピチュをはじめとするインカ都市遺跡、
中米はコパン、ティカル、チチェンイツァーなどのマヤ遺跡を訪れた。

本で、テレビで観た景色を実際に目にし、
何度溜息をこぼしたことか…。
煩雑な情報化社会において
この物言わぬ遺跡たちが
一番多くのことを語りかけてくれた。

 

巨大なテオティワカン遺跡

テオティワカン人の宇宙観、宗教観を表す
極めて計画的に設計された都市で
「太陽のピラミッド」、「月のピラミッド」
そして南北5キロにわたる「死者の大通り」から成る。

ここもまた新型インフルエンザの影響か人がまばら。
ラッキー♪
遺跡は人が少ないほうがいい。
なるべく現実感を取っ払って、過去の時代に心を飛ばしたい。

 

静かで、穏やかな陽光。
乾いた風が頬を撫で、春の香りが鼻孔をくすぐる。
コツコツと石畳の道を歩き、広い遺跡を隈なく探索する。

 

死者の道

「ケツァルコアトルの神殿」を抜けると
そこからは「死者の道」がおよそ2kmに渡ってつづく。
テオティワカンは孤高の都市というイメージがある。
圧倒的な規模、歴史的重要性を持つにも関わらず、
遺跡としての知名度は低い。
最初はなかなか「テオティワカン」と噛まずに言えなかったし…。
孤高ゆえの哀愁と気高さ、
この旅の最後を飾るに相応しい遺跡だと思った。

どこまでもつづく死者の道、
この長い長い旅路にも似ていた。
死者の道の果てには「月のピラミッド」が待ち構えている。
高さ42m、この遺跡で2番目に大きなピラミッド。
階段を昇り振り返ると、
死者の道が真っ直ぐに延びる雄大なテオティワカンが一望できた。

もっと広い世界を見てみたい

さあ、今度こそ本当の最後だ。
1番大きな「太陽のピラミッド」を昇る。
高さ65m、底辺の1辺が225mという巨大な神殿。
これは世界で3番目に大きな建造物らしい。
1番はたぶんエジプトのギザピラミッド、2番はどこだろう?

1段1段踏みしめて。
息を切らしながら、したたる汗を拭いながら。
旅路の果てへ――。

頂上。
高く登れば登るほど、
世界は小さくなる。

 

どうだ!少し勝ち誇った気分になる。
でも同時に
世界はどこまでも広いことを知った。

今、見えてる世界。
でももっと高く登ればもっともっと広い世界が姿を現す。
キリがないや…(笑
だから旅は面白い。人生もきっと。

 

旅路の果てで思うこと

風が抜けていく。
もっとずっと先へ。
風を追いかけるように、
雲を目指すように、
両足で砂を噛みながら、
1歩1歩、歩んできたこの旅。

ありがとう、素敵な旅になりました。

太陽のピラミッドは、
1万人の人手と10年の歳月が費やされている。
なぜ、そんなにしてまで造ろうとしたのか…。
権力の象徴?
いや、これは挑戦なんじゃないかな?

 

理由はいらない。
結果もいらない。
無謀であり、神秘的である。
人の存在は小さい。
だから、もっともっと高みを目指すんだと思う。
旅路の果てでそんなことを考えていた。

 

旅のカケラ/slideshow

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