NO.1

エクアドルの首都「キト」。
赤道直下に位置しているが、
アンデス山脈の中腹にあるため涼しい。

 

早すぎる到着

昨夜クエンカを出発したバスは順調に走り続け、
山道なので遅れることを期待していたのに
午前4時にキトのバスターミナルに到着してしまった。
こんな時間じゃ宿に入れないし…、
仕方ない、ここで夜明けを待とう。

夜明けの前が一番暗く、一番寒い。
荷物をベンチにくくりつけ、
サブバックを抱えて横になった。
もう体力は限界…、身体はフラフラ。
浅い眠りを繰り返し、思考が停止した状態で
気分の悪さと闘いながら3時間を過ごした。
もういいかな?

午前7時半、すっかり明るくなった表に出て
タクシーに行き先を告げた。
「旧市街のサンフランシスコ広場まで」
およそ10分で目的地に着き、
広場のすぐ隣にある『スクレ』という宿に入った。
「ハポネス?(日本人?)」
「うん」
やぁ、よく来たよく来た、と硬い握手で歓迎された。

 

 

世界遺産認定第一号

すぐに部屋に通され、
ベッドが1つあるだけの簡素な部屋だったが日当たりは良好。
しかも窓からの景色は街が見渡せて素晴らしかった。
1泊3ドル! ありえない安さだ。
すぐに観光に出かけたいところだったが
身体が言うことを聞かない…。
そのままベッドに沈み、昼過ぎまで眠った。

キトの旧市街は1978年に世界遺産に登録された。
実はこれ、世界遺産認定第一号。
ずっとアブシンベル大神殿(エジプト)が
一号認定だと思っていたがなぜかここだった。

 

街を歩く。
石畳、教会、コロニアル…
最近はこんな街並みばかりだが
キト旧市街はそのスケールが違った。
そこはもう完全に17世紀の景色!
30に及ぶ立派な教会があって
カラン、カランと交互に鐘を響かせる。
すごいところに来たもんだ…。

 

街歩きも楽じゃない…

興奮から呼吸が浅くなる。
エルサレム(イスラエル)やクスコ(ペルー)も
度肝を抜かれたが、この街も負けてはいない。
トリップ感は抜群で、
今どこにいて、何をしてるのかを忘れそうだった。

昼食を摂り、1時間ほど街を彷徨った。
空気が澄んでいて気持ちいいのだが、
やはり体調が思わしくないのか視界が霞んできた…。
一度部屋に戻り横になる。
ここ1週間続いている大移動の疲れだろう。
とりあえず2時間後に目覚ましをセットし眠った。

目が覚めるとすっかり夕方だった。
誰が止めたか、アラームは鳴り終えている。
しまった、と飛び起きるも、頭が重く、気分は最悪…。
それでも外へ出て大きく深呼吸しながら
うつろな表情で街を歩いた。

薬局で目薬を買う。
レジで目薬を点す仕草をすると
置くの棚から小さな箱を持って来てくれた。
どこを読んでも目薬らしき文字はないが、
もう1度同じ仕草をすると、
そうだよ、と頷いてくれたので購入した。1.5ドル。
ちょっと怖かったけど点してみると
うん、目薬な感じ(笑

大きなミッションをクリアしたみたいで嬉しかった。
風が冷たくなってきた。
地図をたよりに目ぼしい教会を巡り
塔を見上げてはため息をついた。

 

教会の鐘、明日へのエール

通りを歩いていると
教会から厳かな歌声が聞こえてくる。
ミサだろうか?
パイプオルガンの慎ましい音に、人々の声が重なる。
街灯に明かりが灯り、また鐘が鳴る。
静かで、幻想的で、そして淋しい気持ちになった。
でもこの感じは好き。

鐘はカランと1つだけ打つときもあれば、
時刻と同じだけ鳴ることもある。
教会の鐘は真夜中まで鳴り響いていた。

 

旅のカケラ/slideshow

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