ジャングルの摩天楼

ティカル遺跡は、
ジャングルの中に突如姿を現す神殿都市である。
出発は午前5時、
一番早い時刻のバスを予約しておいた。

ここフローレスからティカルまではおよそ60km離れていて
バスで2時間ほどかかる。
乗り込むとすぐに窓にもたれかかって夢のつづきを見た。

 

ティカルへの移動

 

 

遺跡に昇る朝日を拝みたくてこの時間を選んだのだが
あいにくの曇り空…。
でも、夜明けの遺跡は清清しく、人も少ないのでお得感がある。
入場料は150ケツァール(約2000円)で
さすがは中米のハイライト、いいお値段。
今回の旅でマチュピチュ、ぺトラに次いで期待していた遺跡なので
まぁ、ある程度の出費は覚悟の上だった。

ゲートをくぐり、いざジャングルの奥地へ。
熱帯雨林地帯で栄えたマヤの最大の神殿都市。
彼らは焼畑農業でトウモロコシをつくって主食にしていたそうだが
インカもそうだが、なぜこんな僻地に都市を築いたのだろう?
やはり敵から身を隠すため?

 

いざジャングルへ

そう言えばアンコールワットもジャングルの中だ。
ティカルは熱帯雨林の奥にあるため水の確保に重点を置き
底を特殊な粘土で固めた貯水池をたくさん造り、
貯水池までの水路もきちんと整備していたそうだ。
人口は常時1万人以上いて、最盛期には数万人にも達した。

そんな解説を読みながら木々の間をくぐり抜ける。
「グラン・プラザ」が見えてきた。
巨大なⅠ号、Ⅱ号神殿がそびえ、
南北にアクロポリスの遺跡群を従えている。

先日訪れたマヤ遺跡の1つ、コパン遺跡も
保存状態が良く、見ごたえがあったが
ここはさらなるスケールに圧倒された。
マチュピチュ、ぺトラのような知名度はないが
いやいや全く引けを取らない!
勝手に遺跡ランキングBEST5にランクインしたね。

 

摩天楼

ピラミッド状の神殿には登ることが可能。
高さは50mほどあり、眺めは素晴らしかった。
城で言えば天守閣、
かつての王様もここから街を眺めていたのだろう。

この神殿は全部で6つあり、広い遺跡に点在していた。
中でもⅣ号神殿は高さが70mあり、
垂直に近い階段を登っててっぺんまで行くと
足がすくむ高さだった…。
これはコロンブス以前のアメリカ大陸で
最も高い建物だったそうだ。

7つの神殿の広場

失われた世界

こうもりの宮殿

しかし、久々に骨が折れる遺跡だ。
1つ1つ神殿に登っていたので足が重い。
そしてこの広いジャングル…暑さも厳しい。
ひとりで来なくて良かったと思う。

 

冒険とミステリー

何度も木陰や神殿のてっぺんで腰を下ろし
「いいね、ここ」と興奮気味に話しながら
頬をかすめていく風に生き返らせれた。

広範囲に渡って独自の文明を築き上げたマヤ。
コパン王朝は暦を算出する方法を生み出し、
なぜか9世紀に予定調和のように姿を消した。
ティカルは密林の奥に大都市を築きながらも
10世紀に急激な衰退期を迎える。

またこのティカルは、メキシコのテオティワカンの
影響を強く受けているらしい。
マヤ、謎めいていてどこかワクワクさせる言葉だ。
テオティワカンはこの旅の一番最後に訪れる場所だし、
なんだかマヤの遺跡を辿っていく先にこの旅のゴールがあるようで
ドラマで言う“佳境”ってヤツをひしひしと感じる。
旅は冒険とミステリーがつきものだね。

結局8時間近く遺跡を見て回った。
いい時間旅行ができたと思う。
遺跡に対する知識はないが、勝手に想像を膨らませながら
ミステリーの主人公を気取る。
これが気持ちいい。
ひょっとしたらこの地球上には
まだ発見されていない遺跡があるかも知れないし
数千年後にはトウキョウという遺跡ができているかも知れない。

 

旅のカケラ/slideshow

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