■フィレンツェ→ローマ
(所要時間:1.5h/運賃:37ユーロ ※約4800円)
たった3ページ本をめくっただけで眠りに落ちた。
静かに走るユーロスターは極上のゆりかごで
ローマまでノンストップで駆け抜けた。
まだローマのホテルも調べてないのに、
慌ててザックを担ぎ、駅に降り立った。
永遠の都・ローマ
最終目的地ローマ、
歴史と夢を紡ぐ永遠の都。
巨大な駅を出て、細い路地に潜り込む。
古めかしい建物の中でひっそりと息をしているような
1つ星ホテルを見つけた。
駅近1分、よし、ここに決めた!
ベッドの脇にザックをおろし、ひと息つく。
ローマは蒸し暑い。
エアコンをつけようとリモコンを探したが見当たらない。
フロントに出向き、その旨を告げると
シニョーレは満面の笑みで引き出しからリモコンを取り出し、
「使い終わったら返してね」らしきイタリア語を発した。
んんん?
リモコンを見ると16~18と番号が書かれていた。
ははん、どうやら3部屋共通のリモコンのようだ。
ってことはON/OFFや温度調整の度に
フロントを訪ねなければならないってか…!?
ちょっと面倒だけど、旅先じゃこんなのたいした問題じゃない。
洗濯を済ませると街に出た。
日差しが強い。
誰もがサングラスをして歩いている理由がわかる。
沖縄みたいな太陽のもと、東京を歩く感じ。
歴史を刻みつづけている石畳からも
じりじりと熱がこみ上げてくるのが感じ取れる。
ローマを歩く
ピザ屋に逃げ込んだ。
ショーケースに7種類のピザが並んでいる。
名前がわからないので「コレ!」と指差すと
包丁でどれくらい切ればいいの?と合図された。
計り売りなんだ?
指でこれくらい、と適当なサイズを支持し
2種類のピザを切ってもらった。
日本のMサイズ近くあるだろう大きさで
2つ合わせて3ユーロ。
さすがは本場!イタリアのピザは安くて旨い。
腹ごしらえを終えるとコロッセオに向けて歩き出した。
この暑さじゃ地図を見るのもだるくなったので
交差点ごとに道を尋ねて歩くことにした。
イタリア人は陽気で親切。
必ず笑顔で接してくれる。
「コロッセオ」
ヴェスパシアヌス帝の命により紀元前80年に建てられた。
この円形闘技場が街のど真ん中に現れる感覚は
初めて東京ドームを目にしたときと同じだった。
思わず声を上げたくなる衝動、デカイ!
収容人数は5万人を超えるというから東京ドーム以上か…。
周囲には古代の拳闘士の格好をした人たちがたむろしていて
「写真を撮らないか?」と声をかけてきた。
1枚1ユーロ、丁重にお断りした。
ローマの休日
そのまま「スペイン広場」へ向かった。
気分はもちろん『ローマの休日』。
似顔絵書きや花屋の屋台を抜け、スペイン階段に腰を下ろす。
「ローマの休日って、どんな映画だったけ?」
たしかこの階段を王女(オードリー・ヘップバン)が
アイスクリームを食べながら駆け下りたような…。
中学時代に眠い目を擦りながら観た名作。
『インディージョーンズ』や『バックトゥザフューチャー』に
瞳を輝かせていた歳だったので
その内容はあまりに退屈だったことは覚えているが…。
まぁ、いつかまた観直すことにしよう。
かつて競馬が行われていたというコルソ通りを抜け
高級ブティックがひしめく華やかなコンドッティ通りへ。
グッチやヴィトン、プラダなどイタリアの名店が連なっていた。
そのまま1本路地に抜け、10分ほど歩くと
「トレヴィの泉」が見えてくる。
ここもすごい人だかりだった…。
肩越しにコインを投げ入れると
再びローマを訪れることができると言われているが
思ったよりもコインを投げる人は少なかった。
財布から5円玉を取り出し、
肩越しに投げるのは恥ずかしかったので
神社にお参りをする感覚でそっとコインを沈めた。
さすがに拍手は打たなかったw
いいローマの休日だった。
モノクロのフィルムがよく似合う街だ。
何を考えているわけでもないが
何度もため息をこぼしながら
神妙な顔つきで石畳を踏みしめ歩いた。
歴史の重みがそうさせるか、
映画の世界に浸っているのか、
何かの役をもらったような気分だった。
部屋に戻り、疲れた身体をベッドに横たえる。
うーん、暑い。
リモコン、リモコン…あっ!
ベッドから身体を起こし、フロントへ走った。
現実はそんなにカッコ良くいかないものだ…。
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