癒しのカトマンドゥ

のれんをくぐり、席に着く。
暑いほうじ茶をすすりながらカツ丼を注文した。

店の名前は『ふる里』。
読売新聞のスポーツ欄を読みふけり
待つこと10分。
丼のふたを開けると、ふわとろ卵に包まれた
ジューシーなカツが顔を出した。

箸で丁寧につまみ、口にそっと運ぶ。
アツアツでやわらかな食感。旨い。
つづいて味噌汁をひと口。旨い。
カリっと漬物をかじると
奥ゆかしい糠の味が広がる。

 

幸せのカツ丼

これはネパールの首都カトマンドゥの話である。
ヒマラヤフライトの復路をキャンセルしたため、
カトマンドゥにチケットの払い戻しにやってきた。
日本と違い、購入した旅行代理店まで出向かなくては
お金が返ってこない。

ポカラから7時間、200㎞の逆戻りだ…。

せっかくここまで来たのだから
旨いものを食べたい。
ツーリストに評判の日本食レストラン
に行こうじゃないの。

ここのカツ丼は「旨い」と太鼓判が押されている有名店。
値段は170ルピー(約300円)と、
ネパールの物価を考えると少々高いが、
そんなの関係ねー!と言わせるほどの絶品だった。

いやマジで、日本でもこのレベルのカツ丼には
なかなか出会えないと思う。
丼を抱えて夢中で食べた。
あぁ、幸せってこういうことなんだと、
しみじみ実感した。

日本を離れて5ヶ月、恋しくて、恋しくて…。
幸せいっぱいで店を後にし、宿に戻った。

 

君は大切な友人だ

ここでもう1つの幸せが待っていた。
実はこの宿には1週間前にも宿泊していて
オーナーのサハーンとは仲良し。
日本人旅行者の趣向や金銭感覚を教え、
彼からは「マーケティングマネージャー」に任命されている。
今夜も従業員を交えた勉強会が待っていた(笑

カタコトの英語を彼らはよく理解してくれた。
今夜は美味しいカツ丼に気をよくしていたので
広報用にと、ホテルの写真を撮ってプレゼントした。

サハーンは言う。
「よく戻ってきたね。
今夜の宿泊費は要らないよ。
いや、これからもずっとだ」
いやいや、有難いけどそこまでしてもらうわけには…。
「ノー、ノー。君は大切な友人だ。
僕のことを友人と思ってくれるなら受け取ってくれ」

前回はマーケティングマネージャーに任命され、
今回は「永久宿泊券」をいただいた。
しかも、空港までの送迎付だという。
さんざんネパール人と間違われてきた上、
ここまで受け入れられるとは。

いっそネパールに帰化しようか?
カトマンドゥにお越しの際は、ぜひ
『HOTEL MOUNT VIEW』をご利用ください。
(マーケティングマネージャーより)

 

旅のカケラ/slideshow

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