な~んにもない国!?

目が覚めると、ウィントフックにほど近い場所を
バスは走っていた。

 

砂漠の国

 

昨夜、20時過ぎに国境を越え、
40ヶ国目である「ナミビア」へと入った。
国境からおよそ800km、首都であるウィントフックは近い。

ナミビアの国名は、この国の南部に広がる
「ナミブ砂漠」に由来し、
ナミブは主要民族であるサン人の言葉で、
「何もない」という意味だそうだ。
な~んにもない国!?
日本の2倍以上の国土を持ちながら
人口はたったの200万人。
1㎢に2人しか住んでいない計算になる。

 

ナミビアの歴史

しかし、砂漠や野生動物といった景観がドラマチックな国。
アフリカ大陸のなかでも特筆すべき大自然が、
見る者を圧倒する、といわれている。
日本ではなじみのうすい国だが、
この旅を通じて多くの人から絶賛!の声を聞いた。
ここは1つ、そのフロンティアをぜひ味わおうじゃないの。

かつてはドイツが植民地とし、
植民地時代の名称は「南西アフリカ」。
第一次世界大戦以後は南アフリカ連邦が委任統治を足がかりに
国際法上違法な併合を行ったが、1990年に独立を果たした。
独立してからたったの20年…
ということは、自分よりも若いんだ!?

アフリカにはこういった国が多く、
まだまだ国とし未成熟な部分を多く目にする。
よく言えば勢いがあり、悪く言えば“何でもアリ”…。

 

いきなりツアー?

さて、バスを降りたのは午前6時。
地理がよく分からないので、
言われるままにタクシーに乗り込み
唯一知っている『カメレオン』という宿を指示した。
結果的には全然歩いていけた距離だったので勿体なかったが、
安全と時間を買ったことにしよう。

バス泊の朝はとにかく身体がダルい…。
眠りが浅く、何もしていないのにひどく疲れている。
重たいザックをおろし、泊めてくれ~!と懇願するも
あぁ無情…、満室だと言う(泣

動く気力も、他の宿の情報もなく途方に暮れてしまった。
まぁ、しばらくロビーで休ませてもらおう。
受付に「ナミブ砂漠ツアー」の案内があったので
明日からのツアーを予約しておくか。
ここからナミビアの旅は急展開を迎えることになる。

聞くところによると、明日のツアーはなく、
次の火曜日(4日後)か、今からだと。
次のバスチケットを取ってあるため、4日後は不可能。
じゃあ、今から?
もうしばらく待って、宿を移り、他社にあたる
という手もあったのだが、
いかんせん、寝起きプラス身体の疲れ…。
もう、面倒になってしまい、
料金は予定の2倍…!
それでいて予定よりも1日少ない
2泊3日のナミブ砂漠ツアーを申し込むことに。

 

目指せナミブ砂漠

契約書にサインし、
3450ランド(約3万5000円)を支払った。
寝込みではなく、寝起きを襲われたツアー勧誘?
こんなにもあっさりと契約を交わしていいのだろうか??
さぁ、出発は近い!
急いでシャワーを浴び、大きな荷物を宿に預けて
ランドクルーザーに乗り込む。

そう言えば、ツアー内容も聞いてないぞ!?
まぁ、なるようになるか…
車窓の景色を眺めながら、ナミビアに来たことを実感し、
しだいに「ずいぶんと高いツアーを組んだものだ」と、
軽く後悔し始めていた…。

抜けるような青空に、芸術的な雲。
山々の流線美が「そんな小さなこと、いいじゃないか」と
語りかけているようだった。

あ、そう…、お昼ごはんはないんだ?
ツアー内容をよく知らないからこうなる。
ガソリンスタンドに併設しているコンビニのような店で
ハンバーガーとコーラを買い、
そっか、砂漠に行くんだ!と
2リットルの水を慌てて仕入れた。

 

世界で最も古い砂漠

ナミブ砂漠とは、ナミビアの大西洋側にある砂漠で、
面積はおよそ5万㎢。
世界で最も古い砂漠と考えられていて、
アプリコットのように赤い砂が有名である。
大西洋を北上する冷たいベンゲラ海流の影響で生じた
典型的な西岸砂漠で、気まぐれに霧が発生するとか。

ガイドの説明によると、
今日は「セスリエム」というウィントフックから約300km離れた
砂丘群の入り口まで行き、そこで1泊するらしい。
キャンプだ、テントだ、という単語を耳にしたので
あぁ、砂漠にテントを張るんだ、と考えていた。

エジプトでもバフレイア砂漠のツアーに参加し、
星空の下で眠った。無数の流れ星に驚いたことは記憶に新しい。
あのときは、白砂漠と黒砂漠だった。
そして、今回は“赤砂漠”である。

荒野を抜けると、景色はしだいに砂漠に変わっていった。
とにかく人も目にしないし、
対向車ともほとんどすれ違わない。
まっすぐに伸びる道路は、砂煙が立ち、
窓からの風は熱を帯びていた。

 

セスリエム

午後3時過ぎにセスリエムの町に着いた。
へっ、町?
ツーリスト向けのレストランが1軒と、
ガソリンスタンドがあるだけで、民家すらない…。
そこから少し離れた場所に本日の宿があった。

あれ、キャンプじゃないんだ!?
『キャンプデザート』というのがこのロッジの名前で、
1棟1棟が独立したコテージだった。

周囲は砂漠、でもロッジには、
プールはあるわ、バーはあるは、
部屋もオシャレな内装だった☆

周囲とのギャップに驚き、
やっちゃった感が否めないこの高級ロッジ!?
そりゃ、3万5000円のツアーだもの…、
日本で言えば、10万円クラスのツアーに
参加してるようなものだろう。

 

ハハハ、ちょっと引きつりながらも
久々の贅沢に心は躍った。
デーン、とベッドに飛び乗ってみたり、
バーでコーラを飲んでみたり、
砂漠の王様になった気分。
豚もおだてりゃ木に登ると言うが、
テンションがあがっちゃったので、
部屋の前にあった木に…
ハハハ、登っちゃった(笑

 

砂漠の夕日

「王様、夕日の時間でございます」

うむ。
ガイドに薦められ、小高い丘まで歩いて
ひとりで夕日を眺めた。

ナミビアの日は長く、午後8時前に夕日を迎える。
明日はいよいよナミブ砂漠のハイライトだ、と
まだまだこちらの日は高いまま。

宿に戻るとバーベキューの夕食、
ドライバー兼ガイドのジョーがすべてひとりでこなしていた。
食後には手作りのチョコレートケーキも登場し、
いいツアーだよ、まったく。

「明日は6時に朝食、6時半に出発です」
ここ最近はすべて7時前に行動開始。
日本にいるときよりも、忙しく、
そして規則正しい。

 

旅のカケラ/slideshow

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