「グレート・ジンバブエ遺跡」は、
ジンバブエ高原の南端、サビ川の上流の
標高およそ1000mに位置する大規模な石造建築遺跡である。
遺跡の中心部にある石造建築物群は、
50世帯近くに及ぶジンバブエの王や
首長の一族のために築かれたものだそうだ。
久々の遺跡めぐり
昨夜遅くに「マシンゴ」という街に到着し、
連日の大移動の疲れを残したまま朝を迎えた。
最近は蚊に悩まされて眠りが浅い…。
でも、大好きな遺跡めぐりだからテンションは高かった。
グレート・ジンバブエ遺跡は、
街から30kmほど離れた場所にあり、
残念なことにここに行くバスはない…。
仕方がないのでタクシーを20ドルでチャーターし遺跡へ向かった。
入場料は15ドル、ためしにジンバブエドルを出してみたが
頑なに受け取りを拒否された。
おいおい、自国の通貨だろ…。
グレート・ジンバブエ遺跡
アジアと違い、極端に遺跡が少ないアフリカ。
このグレート・ジンバブエ遺跡が見たいがために、
コレラにもインフレにも負けず、ここまでやって来た。
非常事態宣言が出されているような国だから、
ツーリストは皆無。当然のごとく貸切状態だった。
草木が生い茂る緑の丘を上っていく。
草いきれは夏の香り、
どこまでもつづく広い空の下で、旅路の果てを感じていた。
「果てしない、大空と広い大地のその中で」
と、松山千春を口ずさみたい気分だ。
「谷の遺跡」と呼ばれる遺跡群を抜けると、
丘のてっぺんにそびえる「神殿」に辿りついた。
平たい石を幾つも積み上げた城壁は、まるで巨大迷路。
細い通路を抜けて、建物の最上部にある巨石をよじ登った。
どうやって積み上げたのか、
今にも崩れそうな巨石は高さ120m!
サンダルを脱いで裸足になり、“リポビタン”のCMのように
ファイト一発でてっぺんを極めると、
360度の大パノラマに出会うことができた。
呼吸がバランスを崩す
しばらく頂上に座り、震えるような溜息を吐いた。
今、目にしている景色もすぐに思い出に変わると思うと、
時間の愛おしさにちょっと呼吸がバランスを崩す。
儚さと切なさ、旅も人生も
その場所に立ち尽くすことはできない。
空を見上げると、雲の流れがとても速かった。
やっぱり時間は容赦なく流れていく。
グレート・ジンバブエ遺跡は、
世界遺産の中でも正直評価が低い。
アジアや中東、エジプトなどの遺跡と比べると
たしかに迫力や存在感は薄いが、その分情緒と趣きがあると思う。
ミシュランじゃないけど、3つ星をあげたい遺跡だった。
苦労して来た甲斐があったよ、ホント。
雨も落ちてきたので急いで帰ろうとしたとき、
神様からの贈り物があった。
※後編につづく
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