密着ワゴンとプスプス

マダガスカルの先住民は、
マレーシアやインドネシアから渡ってきた
アジア系の人々である。

だから東南アジアの顔していて、
性格もちょっと控えめ。
金、金と、うるさくないのがいい。
“アフリカに最も近いアジア”
そういわれるのもよく分かる。

 

バスのない国

かつてフランスの植民地だったこともあり、
街の景観は西洋香りが漂っている。
アジアとアフリカ、さらにはヨーロッパの文化が
交差している、不思議な国なわけだ。

現在のところ30ヶ国を巡ったわけだが、
このまま順当にいけば
良かった国ランキングの1位に踊り出そうだ。
ちなみに現チャンピオンは「イスラエル」。
もう1日、もう1日と、
離れる日を先延ばししたエルサレムが懐かしい。

さて、過ごしやすかった首都を離れる。
次なる目的地は「アンチラベ」。
フランスの植民地時代に
温泉リゾート地として発展した街で、
医療目的で訪れる人も多いとか。

 

タクシーブルース

昨日、レミュールパークまで乗せてもらった
タクシードライバーのキアディに宿まで迎えに来てもらい
バスターミナルに向かった。
ただ、この国には大型バスは存在せず、
ワゴンかミニバスが主な交通手段。
このワゴンは「タクシーブルース」と呼ばれ、
本来14人乗りのところに20人以上詰め込んで走る。
3人がけのシートは瞬く間に4人、5人がけと変わる…。

アンチラベまではおよそ4時間、
相場を把握していなかったので
まんまと2倍の料金15000アリアリー
(約900円)を払わされてしまった…。

せ、狭い…。
幸い3人がけを4人がけ仕様で済んだが、
それでも身動きがとれないほどの密着感。
乗るのも降りるのもひと苦労で
窓からも人が出入りする。

 

プスプス

人を詰めるだけ詰め込むとノロノロと走り出した。
数々の長距離移動を経験してきたし、
悪路の揺れも、砂埃も、狭い空間も
ある程度はへっちゃらである。

そんなときは思考を通電状態、
いわゆる休止モードに設定する。
主導権をバス側に譲り、
自分はただの荷物になりきる。
運ばれていく、運ばれていく。
それでいい。

何時までに着かなきゃ、と
時間を支配しようとするから
時計に意識が向き、
必要以上に時間を長く感じてしまうのだ。
時間はあまのじゃくな性格をしてるから
気づかないふりをして、好きに泳がしてやればいい。
田園風景を眺めながら、
口笛でも吹いていれば、それで片が付く。

4時間はあっという間に過ぎ、
iPodすら必要としなかった。
ね、ずいぶん便利な身体になったでしょ。
宿までの道がわからないので
「プスプス」と呼ばれる人力車に乗った。
これじゃ、ますます荷物だ(笑

自分で歩いたほうがずいぶん早かろう。
でもいい。時間はたっぷりある。
再び通電状態で1時間を過ごした。

 

屋根裏部屋

宿は屋根裏のような部屋に通され、
お湯とは呼べないぬるい水でシャワーを浴びた。
夕立のような激しい雨が降ってきたので、
宿の人に夕食をお願いし、
薄暗い部屋で音楽を聴いて過ごした。

明日も移動日。
おそらく最大の山場を迎えるだろう。
だって、タクシーブルースの狭い車内で
20時間過ごさなければならないのだから…。

明日は何を考えようか?
そう考えている自分が、なんだかおかしい(笑

 

旅のカケラ/slideshow

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