「ハギス」とは、スコットランドの伝統料理で、
羊の胃袋に内臓を詰めて蒸した料理。
クセが強いと聞いていたのでやや抵抗があったが、
せっかくだから注文してみた。
ソースやマッシュポテトとよく混ぜて、口に運ぶ。
塩気が強く、スコッチウィスキーの香りもした。
想像以上に美味しい。
と、これは昨夜のパブの話。
疲れ切っていたので、
ホテルの目の前にあるパブで夕食を済ませた。
この旅は毎晩パブに行っている。
早朝のディーン・ヴィレッジ
飛行機の時間が早まったので、
今日の朝食は空港のラウンジにしよう。
ロイヤル・マイルを散歩したいとも考えていたが、
近くにいい場所がないか探してみると、
「ディーン・ヴィレッジ」という美しい村を見つけた。
Googleマップで検索すると、ホテルから徒歩20分くらい。
急いで荷造りを終わらせ、カメラだけ持って散歩に出かけた。
ディーンビレッジは、小川沿いの歴史的な集落で、
石畳の道に穀物製粉所や石作りの家屋が軒を連ねる、長閑な場所。
早朝ということもあって、静かな石畳の道を歩いていると、
ここも中世の香りが色濃く残っていることを感じる。
村の歴史は1145年のデイヴィッド1世の時代まで遡る。
800年以上穀物製粉所の村として独自に栄え、
エジンバラの全てのパン屋に小麦を供給していたそうだ。
デタラメに道を歩き、
小さな集落を1周してホテルに戻った。
ガイドブックに載っていない場所、
たまたまだがいい場所を見つけたものだ。
イギリスの未知なる国へ
トラムに乗り空港に向かった。
到着時に往復チケットを買っておいたので
かなりお得だった。
エジンバラは中心街を2駅も離れると、
すっかり田舎の風景になり、
どこまでも草原が広がっていた。
ラウンジで朝食を摂り、出発の時間を待つ。
今回乗る飛行機は、Loganairという会社の小さなプロペラ機だ。
尾翼にはスコットランドらしい模様も入っている。
LM337 12:50エジンバラ→14:25カーディフ
これで今回最後のフライト。
低いノイズのプロペラ音を聞きながら、
機内でうとうとしていると、すぐに機体は降下を始め、
少し耳が痛くなってきた。
101ヶ国目、ウェールズ!
何もない小さな空港で、
なんだかとても心が落ち着いた。
ウェールズ、どんな国だろう?
カーディフは遠かった…
さて、空港からどうやって街に行けばいいのだろう?
観光客らしき姿はなく、みんな車で何処かに行ってしまった。
空港の外れにバスが1台停まっていたので、
運転手に聞いてみるも、英語が聞き取れない。
ウェールズの英語はかなり訛りがあって厳しい。
とりあえず「カーディフ」に行きたい旨を連呼し、
指差されたバス停でのんびりと待つことになった。
やがてバスが1台やってきて、
カーディフ行きだという。
普通の路線バスで、車内に貼ってあった路線図を確認すると
40以上のバス停に停まるようだった。
昼下がりの車内はまばらで、
買い物帰りの主婦や、学校帰りの子供たちが乗り降りし、
ローカルな雰囲気に包まれていた。
車窓からは強い日差しが降り注ぎ、
時々、海も見えて気持ちがよかった。
こういう何気ない時間や光景が、
旅を終えた後に一番記憶に残ることを知っている。
ポカポカの春風の中にいるようで、
心を柔らかく包まれるような安心感が
やがて懐かしさに変わることを。
終点のカーディフについたのは2時間ほど後だった。
夕暮れのマーメイド・キー
ホテル「MLロッジ」は5階建てで、部屋は最上階。
エレベーターはなく、20kg以上あるスーツケースを運び込むのに息が切れた。
すでに16時を回っていたが、
まだ日は高いのですぐに散歩に出かけた。
街歩きは明日思う存分できるので、
カーディフ湾を見に行くことにした。
マーメイド・キーと呼ばれる波止場があり、
直訳すると「人魚の波止場」。
レストランもたくさんあるウォーターフロントエリアで、
夕暮れの海は雰囲気がいいはずだ。
地図を見ると2kmほどだったので歩いて向かうことにした。
旅も終盤に差し掛かっているので
足取りはかなり重い。
アジアと違って、気軽にタクシーを使えない(高すぎる)ことから
連日10km以上歩いている。
少し肌寒い気候なのがせめてもの救いだった。
1時間近く歩いてマーメイド・キーに着いた。
海も空もどんよりとしていたが、
開けた景色は気持ちがいい。
神戸のハーバーランドによく似た景色で、
まぁ、波止場はたいていこんな感じかな。
軒先のメニューを見ながら慎重にレストランを選ぶ。
ずっとパブでローカルな食事をしてきたので
今夜はイタリアンに決めた。
もちろん、ロケーションも相まって
日本で食べるピザとは別格の美味しさだった。
夜の海風に吹かれながらバスを待つ。
辺りはすっかり暗くなり、なんだか心細い。
いくつかバスを見送ったあと、
目的の番号が書かれたバスを見つけると
なんだか安心して、我が家に帰った気分になった。
夜の街。パブには人が集まり楽しそうだ。
流れる街灯りを見つめながら、
旅の終わりを感じていた。
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