午前7時、ウトロの漁港を散歩した。
この漁港はオホーツク海に面した知床半島に位置していて
世界自然遺産に登録されている知床国立公園の玄関口にもなっている。
ここから観光船に乗り、知床観光に出かけるため、
早朝からたくさんの人が集まっていた。
知床八景のオロンコ岩や、三角岩、ゴジラ岩の奇岩も点在している。
キラキラと乱反射する水面、
水平線を気持ちよさそうに行き交う観光船。
ウミネコの鳴き声と、穏やかな潮騒。
鄙びた漁港は日本の原風景で、心がとても安らぐ。
漁港の朝ごはん
さて朝食に、と目星をつけておいたのが
「ウトロ漁協婦人部食堂」。
漁港の片隅にある小さな店で、
その名の通りウトロ漁協婦人部、
つまり地元漁師の奥さんたちが運営する食堂である。
もともと港で働く男性たちのための食堂だったが、
今では観光客に人気の店となり、
10人も入れば満席の小さな店のため
開店前から長い行列ができる。
30分ほど並んで開店と同時に入店できた。
注文したのはウトロ港で水揚げされた新鮮なサケを使った
「三種丼」(2200円)。
ウニ丼も気になっていたが、残念ながら今はシーズンオフらしい。
朝食にしては奮発した金額だが、
それ以上の感動があった。
何より朝の漁港で食べる雰囲気が最高だ。
鮭親子丼
知床の自然
ウトロから知床五湖へ向かう途中、
ビュースポットを見つけた。
おそらくプユニ岬で、ウトロ港周辺を一望でき、
エメラルドグリーンに澄み切ったオホーツクの海、
その後ろに阿寒国立公園の山並みまでも見渡すことができた。
知床五湖の手前2kmで長い渋滞に捕まった。
どうやら駐車場待ちだろう。
結局、1時間以上かかってようやく車を停められた。
知床五湖はすっかり整備されていた。
以前は湖のすぐ近くまで行けたのだが、
高架木道(遊歩道)が整備され、
展望台から眺めるスタイルに変わっていた。
また、5つの湖を自由に回ることもできなくなっていたため、
一湖のそばまで行って折り返すルートを選択した。
知床連山の原生林に囲まれた、美しい5つの湖。
日本の果てという景色が広がっていて、
秘境という言葉がよく似合う。
湖面には周囲の緑が映り込んでいて、幻想的だった。
鳥たちの囀りが心地いいB G Mで、
全ての世の中が平和になったような幸せな散歩道。
知床横断道路
知床峠を越え、羅臼に向かう。
斜里町ウトロと羅臼町の間を結ぶ横断道路は、
頂上が標高738メートルの知床峠。
展望台からは景色は圧巻で、
雄大な羅臼岳がそびえ、
今日のように天気が良いと遠く国後島まで望むことができる。
前回訪れた時は雲海が広がっていて、
雲に島が浮かんでいる絶景を目の当たりにした。
なぜか羅臼というこの小さな港町が好きだ。
防波堤が整備されて景色がかなり変わってしまったが、
それでも“果て”の雰囲気が漂い、
遠い昔の日本に迷い込んだような気持ちになる。
漁港を散歩し、コーラを1本買って
まだまだ長いドライブに備えた。
思いがけない回転寿司
小さな港町をいくつも通り抜け、
いつしか山道に変わった。
中標津町で回転寿司を見つけたので
昼食か夕食かよくわからない食事をとることにした。
「根室花まる」
チェーン店ではあるが、
ここが漁港から一番近い店ということで
美味しいと評判らしい。
15時を少し回ったとこだが、
1時間近く待つことになり、
人気の高さを実感した。
待った甲斐があり、期待値以上のレベルだった。
できるだけ地のものを注文した。
とりわけ美味しかったのが鮭。
「生サーモン」の握りをお代わりし、
「紅鮭すじこ」もいただいた。
〆は釧路産の「生うに」と、
羅臼沖の深海に棲む雑魚を使った「げんげ汁」にした。
根室産の花咲蟹軍艦
網走産のとろにしん
厚岸産の真いわし
真いか知内にら軍艦
キタキツネ
すっかり夕方になってしまった。
畑や牧場が広がる景色を眺めながら
帯広方面へひた走る。
陽はどんどん傾き、風も冷たくなっていく。
久々に市街地が現れた。
釧路である。
ずっと信号もない大自然を走ってきたので
この旅で初めてというくらい都会的な風景だ。
スタバを見つけたので温かいチャイを買い、
釧路の街を後にした。
街灯もなく、どこを走っているかわからないくらい
真っ暗な道。
ぬるくなったチャイをすすりながら
集中力を切らさないようにハンドルを握る。
どうやら海沿いを走っているようで
何もない空間に船らしき灯りが時折見えた。
再び山道に入ると、道端にキラリと光るものが。
キタキツネだ。
華奢な身体に似つかわしくない大きな尾。
スピードを落としてその横を通り過ぎたが
じっとこっちを見つめていた。
日本ではなく、東南アジアの夜を走っているような気分。
いつまでも続くような長い長い夜。
時計は21時、今夜のゴールまではあと少しだ。
※本日の宿泊は「エゾリス君の宿カンタベリー」
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