オレンジ川とオレンジ空

南アフリカの「アピントン」。
あの暑さが戻ってきた。

アフリカはエジプトからスーダンまでは
うだるような暑さと、痛いほどの日差しを感じていたが、
エチオピア以南は比較的涼しく、アジアのような湿気もない。
朝夕はフリースを着ていたくらいである。
太陽を睨みつけたくなるよな日差し、
道路に陽炎が揺れている…暑い!

 

アピントンで1泊

この街にはオレンジ川が流れていること以外、
特筆すべき観光スポットはなく、
食事も残念ながら相変わらずのファーストフード。
1日に5個以上のハンバーガーを頬張っている。

ここに来た理由は単なる経由地。
ナミビア行きのバスがここから出発するので、
そのバスに乗るために1泊刻むことになった。

 

オレンジ川

まぁ、せっかく来たのでオレンジ川くらいは見ておこう。
昼下がり、ハンバーガー屋の帰りにオレンジ川を見に行った。
繁華街から歩いて15分ほどの距離で、
大きな橋が架かっていた。

対岸までは500mといったところか?
暑さによろめきながら橋を渡り、パームツリーの並木道から
川の流れを眺めた。
もちろん、オレンジ色ではない。
ひょっとして夕暮れまで待てばオレンジに染まるかもしれないが
この暑さは尋常じゃない!
エアコンのある宿に戻ろう。

ナミビア行きのバスは、
『インターケープ』社のバスを予約してある。
アピントン→ウィントフック(ナミビアの首都)は、
所要時間約12時間で、
運賃は350ランド(約3500円)だった。

 

2階建てのバス

午後6時半出発なので、
それまでの時間を宿でダラダラと過ごした。
この『インターケープ』のバスに乗るのは今回が初めてで、
楽しみにしていることが1つある。
実はこのバス2階建てで、
2階の最前列は見晴らしが良い、と評判なのだ。
座席はすべて自由席なので、ちょっと早めに行って
ぜひとも特等席を確保したい!

 

かなり気が早いが、出発の2時間前にバス乗り場へ出向いた。
当然乗客はまだ誰も居なかった…。
でも、バスはすでに停まっていて、
スタッフらしき人が出発前の点検をしていた。

「あのぉ、一番前に座りたいんだけど…」
作業中のおじさんに声をかけた。
「ん、受付は6時からだよ」
まだ1時間以上ある。やっぱり早すぎたか。
じゃあ、待合室で待ってるよ、と
荷物を持ってバスを後にしようとすると、

「コーラをおごってくれたら乗ってもいいよ」

なんとも可愛らしいワイロの要求があった。
南アフリカでコーラは1本60円である。
それなら安い買物だ。
早速自販機でコーラを購入し、
ザックと一緒におじさんに手渡した。

 

 

カラハリ砂漠を行く

動き出したバス。
特等席の見晴らしは想像以上で、
まるで映画のスクリーン。
全面ガラス張りで、足元も広かった。

カラハリ砂漠をまっすぐに貫く道路。
オレンジに染まっていく空を眺めながら
次なる国「ナミビア」に思いを馳せた。

思えば、地平線に沈む夕日をいくつも数えた
アフリカの日々。
こうしてまた1つ、オレンジデイズが終わる。
地平線の彼方にある40ヶ国目へ
バスは走っていく―。

 

旅のカケラ/slideshow

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