シリアの首都「ダマスカス」。
この街は4000年の歴史を持つ。
先日訪れたイエメンのサナアは、
ノアの息子シェムに由来していたが、
この街はノアの次男ハムに由来する。
どちらも世界最古と謳われる世界遺産の街である。
ダマスカスの朝
都会の夜は寝苦しいもので、絶えない喧騒と
蒸し暑さの中で、何度も寝返りを打った。
幸い蚊は出なかったが、小ハエにまとわりつかれ
ハッと何度も目を覚ました。
シリアに来て5日目、
ようやく屋上部屋は熟睡できないことを悟った。
(って、気づくの遅いよ…)
午前7時、朝日に照らされ枕元が陽だまりになった。
これこそ最強の目覚ましである。
あぁ、暑いって!!
シャワー室に駆け込み、冷水を頭からかぶった。
これでようやく息を吹き返す。そそくさと荷物をまとめ、
そいつらを枕元の柱にくくりつけて宿の外へ出た。
ここ数日雲ひとつない晴天が続いている。
シリアは砂漠の国で、この時期の降水量は皆無。
旅行者にとってみれば、日差しは厳しいが、
雨の憂鬱さを思えばとても幸せなことである。
7つの門が現存する旧市街
さて、恒例となっている早朝観光。
本日はオールド・ダマスカスを拝見しましょ。
街全体が城壁に囲まれていて、7つの門が現存する旧市街。
街の中心には「まっすぐな道」という
なんとも分かりやすいメインロードが1.5kmに渡って走る。
そして、その道を取り巻くように、
スーク(市場)が広がっているのである。
ではスークを覗いてみよう!と、
通りを歩くも、シャッターで固く閉ざされていた。
腕時計を見る、まだ8時。ちょっと早く来すぎたか…。
旧市街には細い路地が無数に走っているので、
あてもなく歩くことにした。
途中、「ウマイヤド・モスク」を発見した。
このモスクはウマイヤ朝時代(715年)に建てられたもので、
世界一古いモスクと言われている。
ホールの内部には、ヨハネの首が納められているとも言われ、
ムスリムにとっての聖域である。
中に入れるかな?とウロチョロしていると、
すでに会堂には大勢の人が集まっていた。
そうか、今日は金曜日だ。
ムスリムにとって金曜日は休日にあたり、
しかも今はラマダン月ということもあって
金曜礼拝は特にごったがえす。
ん、金曜日?? し、しまった…。
よーし、撤収だぁ!
しまった=閉まった
そう、今日は休日。スークは軒並み休みである。
早起きしたのに…、ダマスカスまで来たのに…(汗)
ホ~タ~ルの~光…♪ 閉店ガラガラ…、
心にもシャッターが下りてきた(泣)
ある意味、これだけシャッター通りと化したスークも珍しいけどね。
あーあ、気ぃ抜けたし、こんだけ歩けばお腹もスークということで
宿に戻り、朝食を摂ることにした。
さすがにダマスカスにもう1泊する気力はなく、
どうせもう一度来なければいけない街なので
さっさと移動することに。よーし、撤収だぁ!
パルミラを目指して
そうと決まれば行動は早い。
ザックを担いで乗り合いワゴンでバスターミナルへ。
行き先?
シリアで一番期待してる「パルミラ」へGO!
ダマスカス→パルミラのバスは毎時1本あり、
乗車時間3時間、料金は200シリアポンド(約500円)。
走り始めて1時間、
車窓にはどこまでも続く砂漠が映し出された。
時折、何もない砂漠にポツンと土でできた家が現れ、
砂漠の民・べドウィンの姿を目にした。
よくもこんなところで生活ができるものだ…。
人間は思っている以上に強い生き物なんだね。
↑砂漠を貫く線路
荒涼とした景色を見ていると、
ついもの思いにふけってしまう。
今日はこんなことを考えていた。
旅立って200日になろうとしている。
すべてが一期一会で、同じ景色はほとんど目にしていない。
シリアに入ってから多くの日本人に出会っているが、
そのほとんどがもう2度と会うことのない人たちだろう。
そんな新鮮な毎日なのに、違和感が薄れてきた気がする。
旅が日常化してきたのだろうか?
“慣れ”というのは扱いが難しい。
よく言えば経験値が上がっている証拠だが、
そのまま鵜呑みしてしまうと、
日常の一部に取り込まれてしまう。
つまり、当たり前のものとして見過ごしてしまう
危険な怠惰がそこに待っている。
思い返してみよう。
決して簡単な決意で旅立ったわけじゃない。
多くのモノを失い、
ひょっとしたら取り返しのつかない
未来が待っているかもしれない、
そんな覚悟でこの旅を選んだ。
その思いが日常に溶けてしまうのは
とても恐ろしいことだ。
あのときの気持ちはなんだったのか?
今の気持ちはなんになるのだろうか?
過去の自分を、そのまま置いてきぼりにしてなるものか。
無理に大儀や名分を作る必要はないが、
当たり前として見過ごしたくはないなと思う。
わずかな変化や感情の揺れを感じながら毎日を過ごしたい。
果たして今、それができているかな?
先日、夕暮れの部屋に風が吹き込み、
バサッとカーテンが揺れた。
あの瞬間、胸に込み上げる何かを感じた。
きっとこういう気持ちが大切なんだろう。
そんな自問を繰り返しながら、
前に進む気力、もっと世界を見たいという意欲、
を確かめていると、
砂埃を舞い上げてバスは停車した。
パルミラの熱風
バスを降り、パルミラの熱風に身を浸した。
ホテルは奮発してツインルームをシングルユースした。
2食付で500シリアポンド(約1250円)、
たまには身体も休めてやらないとね。
ホテルの目の前にはパルミラ遺跡が広がっているが、
楽しみは明日にとっておくことにし、
部屋でひとり“充電祭り”を開催した。
しばらく屋上生活が続いていたので、
身体も電化製品も、バッテリー切れ寸前。
あぁ、今日のタイトルね。
「決戦は金曜日」
えぇ、ドリカムの歌です。
意味?なんとなく金曜日だったからじゃダメ?
あ、そう。じゃあ、
「大丈夫」3回掌に書いて、飲み込んで眠ろうかな?
コメントを残す