何度も言うようだが、ここキルギスに来た目的は
パキスタンのビザを取得するため。
さっと行ってさっと中国に戻る、
そんな気でいた。
しかし、いざキルギスに入ってみると
ままならないことの連続で、旅は遅れはじめている。
パキスタン大使館のあるビシュケクに来るまで、
どれだけ大変だったことか…。
パキスタンビザ
AM9:00、まずは在キルギス日本大使館へ。
パキスタンビザを発給してもらうためには、
「レター」という紹介状が必要なのだ。
重たい門をくぐり、テーブルがあるロビーに通された。
そして待つこと5分、資料を抱えた領事がやってきた。
「なぜパキスタンに行きたいの?」
「どんなルートを考えてるの?」
いくつかの質問が飛んできた。
現在、パキスタンは外務省から退避勧告が出ている。
当然ながら国民の安全を守るのが日本大使館の役目なので、
そう簡単にレターを出すわけにはいかない。
まるで就職の面接のように、張り詰めた空気が流れた。
レターがほしいんです
ルートを詳細に説明し、それを紙に書く。
届けこの熱意!
良識ある態度と、
パキスタンの素晴らしさを精一杯伝えきった。
「なるほどね、そんなにいいところなんだ」と、
少し感心した様子。そして、
「充分に気をつけて下さいよ」と、
レターの作成を約束してくれた。
ああ、この人は話せる人だ、と胸を撫で下ろした。
でもまだ安心できない。今はGWの真っ只中。
今日中にレターをもらわないと
パキスタンのビザがいつ発給されるやら。
遠慮がちに、でもすがるような思いで
「どうしても今日中にレターがほしいんです」
と、領事に告げた。
すると、しばらく考えた後、
「このあと11時からお客さんが来るんだよね。
それはどうしても外せないからなぁ」と渋い回答…。
あぁ、ダメか…。
心に暗雲を立ち込めはじめた瞬間、
「じゃあ、すぐに取り掛かるから!」と、
勢いよく席を立ち、奥の部屋へと消えていった。
ありがとうございます!
心の芯から出た言葉だった。
レターを受け取り、今度はパキスタン大使館へと急ぐ。
ここも時間との闘い。
午前中に書類が提出できれば、
即日発給の目も出てくる。
窓口で申請書を受け取り、約20ある記入欄を埋めていく。
もちろんすべて英語。
まるで日本大使館が面接試験で、パキスタン大使館は筆記試験(汗)
時間を気にしながら1問ずつ問題を解いていった。
30分かかってようやく全問終了。
午前の申請時間ギリギリで窓口に突っ込んだ。
スタッフがざっと目を通し、
「OK、マンデーモーニング」と、
無情なひと言が返ってきた。
えっ、アウト!?
やっぱり土日を挟んじゃうのか…。
閉まりかかった窓をこじ開け、
「どうしても今日は無理ですか?
夕方まで待ちますよ!!」と、必死のお願い。
スタッフは、ビザの作成には時間がかかると説明しつつも、
「じゃあ、来るだけ来てみてください」
とわずかな希望を残してくれた。
「本当?トライしてみます。ありがとう!!」
17時に再度訪問する約束を交わした。
もう少し、あと少し
キルギスへ来た目的が達成されようとしている。
でも、これから先はこういうビザ取りに悩まされるんだろうな…。
できればキルギスでイランやカザフスタンのビザも取っておこう、
そう思っていたが、1ヶ国分取得することが
こんなにも大変だとは。
17時、再びパキスタン大使館。
残念ながらビザは出来ていなかった…。
「明日の朝、もう一度来れますか?」と、スタッフは言う。
明日は土曜日なのに、少しの時間だけ開館するのだとか。
よし、最後の希望を手繰り寄せた。
宿からパキスタン大使館は約5km。
明日も元気にこの道のりを歩いていこう。
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