青を超えたアオ


 

氷河期に地形が隆起し、
数万年かけて創られたカルストの大地、
それが「黄龍(コウリュウ)」である。

3500の小さな湖、金色に輝く、天使のプール。
と、さまざまなカタチで形容される景勝地で、
毎年160万人の観光客が押し寄せる世界遺産である。

 

 

雪解けの黄龍

標高5000mクラスの山々に囲まれた、
嘘のような断崖絶壁をバスは通り抜けていく。
青い空と、雲や雪の白のコントラストが実に美しい。

やがて黄龍に着き、整備された1本道を行く。
オフシーズンということもあって人もまばらだ。
澄みきった空と、そびえる雪山を仰ぎながら
浮かれ気分で足取りは軽かった。

 

残念ながら雪解けが始まったばかりで、
多くの湖はまだ干上がっているか、雪に埋もれていた。
本来なら、ここに雪解け水が流れ込み、
豊に水を蓄えるのだが…。

 

自然が育んだテーブル状の流線

それでも、自然が育んだテーブル状の流線は美しかった。
「明鏡投影」や「浄艶池」と絶景スポットを巡るも、
やはり早すぎたようで、完璧な姿は拝めなかった。
約3km歩き、息が切れてきた。
そりゃ、標高3500mだから仕方ない。

「五彩池まで1.5km」の案内を見つけたところで
友人と相談した。

「どうするこの先も狙ってみる?」(KAZ)
「けっこうしんどいな…、どうせ雪でしょ?」(HIRO)
「なんか“行け”って、直感がうずくんだよね」(KAZ)

半ば押し切るカタチで、あと1.5km付き合わせることに。
そして歩くこと40分、直感は正しかった。

 

このアオは尋常じゃない

なんだこの色は?
見たこともないアオ…。

思い切りはしゃぎ、うっとりとため息をつき、
ヤバイ、ヤバイとシャッターを切った。
頭が、身体が、見たこともない光景に大忙しだ!
このあたりの地下水にはカルシウムが多く含まれ、
それが乳白色の結晶体して付着しているという。

しかし、このアオは尋常じゃない。
「スゴイ」をただ連発し、
スゴイを超える言葉を探しては
あとはもう、押し黙ってしまった。

言葉を超えた美しさって、あるんだね。

つま先の一歩先へ。
そんな言葉が生んだこの結末。
行ってダメならそれでいい。

行かなきゃすべては始まらないんだから。
そんな旅をもっとつづけていこう。

旅のカケラ/slideshow

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