バスは行く。
出発から15時間が経過し、朝を迎えた。
北へ北へ
ここはどこだろう?
案内標識がないか探してみたが見当たらない。
そうこうしていると朝食が運ばれてきた。
ハムサンドとインカコーラだった。
車窓の景色はずっと同じ。
草原が広がる一本道。
北へ、北へ。
正午前にペルー最後の町「トゥンベス」に到着し
イミグレーションで出国手続きをした。
再びバスに乗り込み、町を抜ける。
町には市が立っていて人通りが多かった。
赤道の国エクアドル
狭い道を起用に走るバス、
橋を渡ると「エクアドル」の看板が見えてきた。
いい国でしたペルー、またいつか。
そして50ヶ国目「エクアドル」に突入した。
エクアドルに入ったことで、ゴールまで残る国数は10。
カウントダウン開始である。
長かったなぁ、ここまで。
エクアドルは、国名が示す通り赤道(=Ecuador)直下に位置し、
南北約1000kmに渡って走るアンデス山脈によって、
国土をコスタ(海岸地方)、
シエラ(中央アンデス地方)、
オリエンテ(東部熱帯低地)に分かれる。
何より気になるにはガラパゴス!
どうしよう…行こうかな?
グアヤキル
エクアドルの入国を済ませると昼食が配られた。
挽肉の入った卵焼きとライス、そして蒸しバナナ。
南米最長移動となる今回はすでに3度目の食事である。
はじまりがあれば必ずおわりがあるもので、
この長い長いバスも
午後6時に「グアヤキル」に到着した。
乗車時間26時間、予定よりもずいぶん早い到着だった。
南米のバスは快適なので
これだけ長く乗っていても疲労感はない。
こっから先はバスのレベルが下がるので
楽な移動もこれが最後かもしれないけどね…。
タクシーを拾い宿に向かった。
宿はガイドブックに載っていた『ニウカンチェ』。
フロントで料金を聞いてビックリ!
個室で4ドル!?破格の安さだった。
そうそう、エクアドルは自国の通貨を廃止し、
米ドルを使用している。
辛うじてコインだけはまだエクアドルドル
(紛らわしい)が残っていて、ミックスして使っていた。
ガラパゴスの迷い
まだ間に合うかな?
荷物を置くとすぐに街に出て旅行会社を探した。
ガラパゴスへ行くには
いったいいくらかかるのか知りたい。
すでにブラインドは降りていたが、
明かりと人が見えたので窓を叩いた。
「ガラパゴス、ガラパゴス」
おかしな東洋人が来たぞ、
訝しげな顔で扉を開けてくれた。
「ガラパゴスに行きたいんです」
「いつ?」
「うーんと…明日!」
パソコンを立ち上げ飛行機のチケットを調べてくれた。
ドキドキしながら結果を待つ。
『なんでも鑑定団』みたいな気持ち。
さぁ、オープン・ザ・プライス!!
希望価格は250ドル、
はじき出された金額は399ドルだった。
た、高いな…。
ガラパゴスに行くには入島料も必要で
これが1人100ドル!
さらにツアーを組まなきゃ
島を巡って動物に会えないので
400~500ドルは乗っかるわけだ。
合計900ドル越えかぁ…やっぱ無理かな?
ちょっと考えさせて、と店を後にした。
思考が巡る。
頭の中に天秤が登場した。
お金を取るか、経験を取るか。
微妙なバランスで揺れている。
もし、日本から行くことを考えれば
900ドルじゃ済まないしなぁ…。
でも、南米はとっくに予算オーバーしてるし…。
行くつもりがなかったパタゴニア、700ドル。
3倍の値段で行ったイースター島、1000ドル。
気軽に出かけたアマゾン、400ドル。
パソコンも600ドルで買ってるし、
これ以上の出費は痛いよなぁ…。
それが答えだ
待てよ、ツアーを組まなきゃどうだろう?
自力で島を巡れば300ドルほど節約できる。
600ドルでガラパゴスならアリじゃないか??
そんなことを考えながら歩いていると
一周してさっきの旅行会社に戻ってきた。
ええい、行っちゃえ!
もう最後だし、行って後悔すればいい。
覚悟を決め、もう1度窓を叩いた。
が、今度は誰も出てこない…
あ、終わっちゃったか。
これで良かった。
その夜、もう一度よく考えた。
手当たり次第に行きたい場所を貪っていたら
お金も時間もキリがなくなってしまう。
だって、当初の予定ではガラパゴスなんて入っていなかったんだし、
そこに近づいたから気になり出しただけじゃないだろうか?
名前や知名度に負けちゃいけない。
動物よりも遺跡が好き、自然よりも旧市街が好き。
これがスタイル。思いとどまって良かった。
こうしてガラパゴスの呪縛から解き放たれた。
もうここグアヤキルにいる必要もないので、
明日の朝移動することにしよう。
さて、どこの街に行こうか?
気分が軽くなり、また旅が面白くなってきた。
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