ぜろ、ゼロ、0

キトから北へ約20km、
サンアントニオ村に「赤道記念碑」がある。

エクアドルは国名が示す通り赤道(=Ecuador)直下に位置する。
標高の高いキトにいるとその涼しさから
赤道直下ということを忘れがちだ。

 

サンアトニオ村

バスに乗り、サンアトニオ村へと向かった。
身体の疲れもずいぶんとれた。
標高が高いからか頭はすっきりしないが
昨日に比べればずいぶんマシ。
アジア、アフリカ以上にハイペースで飛ばしてきたから
思っている以上に疲労は溜まっているはず。
でも、あと少し。
嬉しさと淋しさが入り混じったゴールは近い。

バスは3回も乗り換えるという
ちょっとしたゲーム、“はじめてのおつかい”状態。
乗り換えの場所を紙に書き、お守り代わりに握り締めた。
バスと言ってもトロリーバス。
バスに電線が付いたバスと電車のあいのこ。
旧市街の狭い路地を勢いよく走り抜けて行くので
一番先頭、運転手のすぐ隣を陣取って
食い入るようにその様子を見つめた。
下手なジェットコースターよりもスリルがある(笑

乗り換えの度に紙を見せ、
あっちだよ、と指で導いてもらった。
中には一緒について来てくれる人もいる。
みんな親切、
グラシアス(ありがとう)しか言えないのがもどかしい。

 

赤道記念館

La Mitad del Mundo
赤道記念館に到着した。
広い駐車場を抜けるとチケット売場があり
入場料は2ドル。
そのまままっすぐ進むと大きな記念碑が見えてくる。

高さ30m、てっぺんには地球が乗っかっていた。
記念碑の前には線が引かれていて
これが北半球と南半球を分ける
0°0´0”の線。
この線をまたいで写真を撮るのがお約束。

大勢の人がいるので、
順番を見計らって写真を撮らなければならない。
ここで恒例(?)の“世界でジャンプ”写真を撮りたい!
その隙をうかがって待つ。
いつも撮ってるジャンプ写真は実はセルフタイマー。
人に撮ってもらうにはタイミングが難しく、
もう1回、なんて言うのも恥ずかしい(笑
ひとりでジャンプ写真を撮ってる様も十分滑稽だけどね…。
なるべく1発で決めたいところだ。

なーんて、はしゃいで写真を撮ったものの
実はここ偽モノで、実際の赤道との誤差がある。
後からGPSで調査したら
「あれ、ズレてました~」って話(笑
でもこんな立派な記念碑造っちゃったし、
今さら後には引けないのかもね。

 

本当の「0」

 

赤道記念碑を後にし、10分ほど歩く。
すると「赤道博物館」なる看板が見えてくる。
この博物館の敷地内に本物の赤道がある。
入場料は3ドル、ガイド付きで様々な実験を見せてくれる。
スペイン語と英語のどちらを希望かを問われ、
もちろん英語を選択。
ひとりで訪れたからマンツーマンでガイドがついてくれた。

流暢な英語で世間話が始まったが
ここ最近はすっとスペイン語環境だったので懐かしく、
そして何を話しているのかが7割方理解できることに驚いた。
展示物の紹介がひと通り終わると
本物の赤道に導かれた。

0°0´0”の線

 

赤道の不思議

ここで様々な不思議を目にすることになる。
渦の実験。
水を張った流し台を用意し、
そこに葉っぱを浮かべる。
そして腺を抜くと…?
赤道を隔てて北半球では右巻き、
南半球では左巻きに渦ができた(反対だったかも?)

「では赤道の上ではどうでしょう?」
ミステリーハンターから第一問。
答えはノー渦。
渦は発生せずそのまま葉っぱはストンと吸い込まれた。
科学って不思議で面白い!

第二問!
「赤道の上を目をつぶって歩くとどうなるでしょう?」
やってみた。
あれ?いつもよりフラフラする…。
目を開けてみると線から大きくはみ出していて
「酔っぱらってるの?」と笑われた。
赤道上は引力が小さいからこうなるのよ、と教えてくれた。
赤道の真上に立つと体重は1キロ減るらしい。
力も入り辛くなる。
引力が小さいからジャンプ力も上がる。
(ここでジャンプ写真撮りたいな)

第三問!
「釘の上に卵は立つでしょうか?」
あ、これ知ってる。コロンブスの卵?
誰でも1回は挑戦した覚えがあるはず。
日本じゃ立たないんだよね、ゆで卵は別として。
これも引力に関係があるみたい。
「よーい、ドン!」
唐突に“チャレンジ・THE・卵立て”が始まる。
9秒!
驚きの速さで卵は立った。
ワールドレコードは何秒かは知らないが
好記録だと褒めてくれた。

 

何度目かの悪夢

そして赤道証明書と、卵立てたよ証明賞をお土産にもらった。
いやぁ赤道って科学、世界ふしぎ発見!
ぜひ理科の教科書に載せてほしい(もう載ってるか?)
ここにコートを造ってバレーボールをしてみたいな。
きっとスッゴイ!スパイクが打てるんじゃ!?

その夜、科学では証明できない悲劇に見舞われた。
買ったばかりのパソコンの調子がおかしい。
なんで?嘘でしょ??
起動はするものの、ものすご~く遅い…。
半年前、1号機はこの“のろウイルス”で壊れた。
2週間前に2号機は“突然死”した。
あと1ヶ月ちょいなのに、また?

これも赤道のせい、引力の関係だったりして…
なんて現実は甘くない。
その夜なかなか寝付けず、
またパソコンが直る夢を見た。

日付が変わった午前2時、
寝ることをあきらめ出発の準備を始めた。
南米の神様はどこまでも厳しい…。

 

旅のカケラ/slideshow

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