危ないよ!

パナマ旧市街。
ここは「カスコ・ビエホ」と呼ばれる歴史地区で
スペイン植民地時代に繁栄した古い町並みが残る。

南米ですっかりお馴染みのカテドラル建築が並び、
またまた中世にタイムスリップ。
欲を言えば、車が通っていなかったらいいのにね。

 

カスコ・ビエホ

世界遺産にも登録されていて、潮風が気持ちいい港町だった。
石畳をかかとで小突きながら小道を行く。
街角には先住民族のクナ族が「モラ」と呼ばれる
カラフルな布を縫っていて
ノスタルジックな風景に溶け込んでいた。
いいよね、この感じ。

最近はすっかり旧市街の虜で、
あてもなく街を歩くのがお気に入りだ。
でも油断してると…どんどん寂しい場所になっていく。
家々も廃墟と化していてなんだか嫌~な雰囲気。
どこだろう、ここ。

地図を見るも検討がつかない。
とにかくバスに乗ってターミナルに戻ろう。
バスを探しウロウロしていると、
向かいの道路から英語で声をかけられた。
「ここ危ないよ! どこに行くんだい?」と聞かれ、
バスターミナルに戻りたい旨を伝えた。

 

迷い込んだスラム街

彼は何度も首を振りながらため息を吐く。
「ここは危険な場所なんだよ…。
ダメだよ、入り込んじゃ」
彼に先導され、大通りに戻ってきた。

聞くところによると
さっきの場所はエル・チョリージョ地区といって
旧市街に面したスラム街で、犯罪が頻発している地域。
ガイドブックにも
「うっかり迷い込まないように」
と書いてあった。 まぁその、
うっかりになっちゃったんだけどね…。

 

バスを教えてもらい、3度目のバスターミナルへ。
最後は「パナマ・ビエホ」を目指した。
夕方だったため帰宅ラッシュに巻き込まれ
目的地まで2時間近くかかってしまった。

 

パナマ・ビエホの夕日

パナマ・ビエホは、スペインによる占領後
太平洋側で最初に築かれた都市であったが、
海賊ヘンリー・モーガンに攻撃を受け、壊滅の途を辿る。
現在では教会などが廃墟として残っていて
ここもまた世界遺産に登録されている。

夕日に照らされる夢の跡。
海辺に面して遺跡が点在していて
夕日を背にしながら自分の長い影を追いかけ歩いた。
気持ちいいな。

今日はよく観光した。
旅立って1年以上経っているのに
目に映るものすべてが新鮮。
旅が好き、この気持ちに偽りはない。
もうすぐ終わるこの旅が淋しくもあるが、
やり遂げた達成感もまた楽しみである。

そんな旅路を踏みしめるようにいい気分で歩いていると、
1台の車が停車し 窓を開けて声をかけてきた。

「ここ危ないよ!!」

ま、また!?
時刻は午後6時、夕方以降にここを歩くと撃たれるらしい。
でもメインの教会だけは見ておきたい、と
まるで脱獄者のように周囲を見渡しながら
慎重かつ早足で歩いた。

さっきまでのいい気分は吹き飛び、
急に心細くなってしまった…。
海賊ならぬ強盗の攻撃は免れたが
パナマってやっぱり危険なのね…と思い知らされた。

 

旅のカケラ/slideshow

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