キノコのような奇岩が林のようにそびえる
「カッパドキア」。
幻想的な風景が延々と続くこの地は、
世界遺産の中でも数少ない自然遺産と
文化遺産を併せ持つ「複合遺産」である。
スターウォーズ
アナトリア高原の中央部に広がる、
トルコ最大の見どころ。
なんでも数億年前にエルジエス山が噴火して、
火山灰と溶岩が積み重なり、
それが風雨によって侵食して固い部分だけが残り
世にも奇妙な物語となったわけだ。
そうそう、思い出したことがある。昨日の日記で
「まるでスピルバーグの世界だよ!」
と書いたが、まさしくその通り。
『スターウォーズ・ジェダイの復讐』の
モチーフになった場所じゃないか☆
カッパドキアの奇岩は、
「ペリバジャ=妖精の煙突」と呼ばれ、
伝説ではこの煙突の下には
妖精たちが暮らしていたという。
なんともロマンチックな話じゃないの。
どこまでも歩こう
さて、予算が厳しいためツアーに参加せず、
ましてや気球なんて乗りません!
(1人200ユーロですから…残念!!)
歩くんです、途方に暮れるくらいとぼとぼと…。
頭の中に『スタンド バイ ミー』を流しながら♪
照りつける太陽が厳しかった…、
走り抜ける車が羨ましかった…、
店先のコーラが美味しそうだった…。
したたる汗を拭いながら
奇岩の間をすり抜けるように黙々と歩みを進める。
ギョレメ地区から約3km、ウチヒサル地区に入った。
急勾配を歩いてきたため、街が遠くまで見渡せる。
どこまでもつづく絶景…。
終わりのない感動がそこにはあった。
ウチヒサル
ここトルコに入って旅のスタイルが変わってきた。
今までは、あれも観たい、これも観たいと、
忙しく動き回った。
でも今は時間とともにいる。
そこに吹く風を感じながら、
ぼんやりと景色を、街を、人を眺めている。
カッパドキアも4日かけて観て回るつもりだ。
ただ無理はせず、自分の足で行けるところまで。
ウチヒサルの街は断崖にそびえていた。
街の中心には尖った一枚岩の城塞がある。
そこには小さな穴がいくつも開いていて、
鳩の巣だという。
ここでは昔から鳩の糞を集め、
ぶどうの肥料に有効利用しているそうだ。
浸食
さて、ギョレメもウチヒサルも、街のいたるところに
豪華なホテルや奇岩を利用したお洒落なカフェがある。
雨風に侵食されてできたカッパドキアは、
今度は人間によって侵食され、
リゾート化の波が押し寄せている。
数億年かけてできたこの景色も、
数年にして姿を変えつつある。
自然の造形美と人間の叡智。
その行く末は共存か?対立か?
利便性という恩恵を受けながらも
迷いの森を彷徨ってしまう…。
ちょっと感慨深い気持ちになったものの、
ホテルに戻るとすぐにリゾートスイッチをON!
中庭にあるプールに勢いよく飛び込んだ。
馬鹿んす!と揶揄したくなるほど(笑
大きな波しぶきを上げて水面が激しく揺れる。
潜り、浮かび、泳いだ。
そして、プールサイドのチェアーでうたた寝。
いつしか強い日差しも夕日に変わっていく。
すべてはバランスだ。
すっ~と力を抜いて、仰向けにプールに浮かぶ感じで。
ときに流され、ときに逆らい。
ザブンと潜ってもいい、岸に上がって休んでもいい。
地球というプールに浮かんで、
ちょっとだけ明日のことを考えていよう。
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