午前5時、
緊張のあまりアラームよりも早く目が覚めてしまった。
今日は決戦の日!
そう、「ブータン」へ潜入する。
ジャイガオン
まずはシリグリから国境の街「ジャイガオン」へとバスで移動した。
(シリグリ→ジャイガオン、5h/60ルピー ※約160円)
潜入!?と聞くと何ごとかとお思いだろう。
実はブータンは、ビザの取得が難しいうえ、
1日に200ドルという公定料金が課される国なのである。
だから非常に旅がしづらい!
というのも、国策として観光公害の排除を掲げていて、
開発や国際化よりも、自国の伝統と文化を重んじている。
だから現在でも“鎖国”状態にあるのだ。
面白いことにブータンには、国民総生産(GNP)ならぬ、
国民総幸福量(GHP)なるものが存在する。
とっても神秘的で、ミステリアスな国である。
さて、ビザを取り、おとなしく200ドルを支払うか?
いや無理な話だ…。この旅にそんな余裕はない。
そこで目をつけたのが「フリーゾーン」なるもの。
なんでも、インド・ブータン国境の街「プンツォリン」は、
例外的にノービザ、ノーマネーで入国できる。
いや、入国できることもある、と言ったほうが正確だ。
作戦決行
実は2004年を持って、このフリーゾーンは廃止されてしまい、
今では「運次第」で入国できるのだ。
なぜなら、ゲートには多くの警察官が目を光らせていて、
厳しく外国人の入場を取り締まっているのだから…。
「日本人で良かった」、今日は特にそう思った。
ブータン人と日本人、まさに瓜ふたつの顔立ちなのだ。
ブータン人が激しく行き来する中に紛れてしまえ!
それが作戦だった。
荷物は手ぶらがいい。
折りたたみのリュックを腰にぶらさげ、
ガイドブックやカメラは、ポケットに詰め込んだ。
服装もなるべく地味に、髪型は前髪を揃えておくとするか(笑
念のため、カッパも用意しておこう(顔を隠すため)
準備は整った。
宿から徒歩10分、決戦のゲートへ向かった。
警察官4人、軍2人!?
想像以上に手ごわいぞ、これは…(汗)
しばし、様子を伺い、
どんな人が捕まっているかを観察した。
どうやらインド人ばかりが検問に引っかかっている。
ブータン人は当然ながらノーチェックだ。
お誂え向きのブータンおじさんが横ぎった。
この人だ!
彼のあとにぴったりくっつき、まるでドラクエ状態(笑
「お願い!親子に見えますように」
ドキドキの30秒間だ。
警察官との距離が詰まる。
高鳴る心臓、あー神様!!
ゲートの真下で女性警察官と目が合った。
ドキっ!だ、だめ??
毅然とした警察官に負けないくらい、
こっちも背筋を伸ばし、
「何か問題でも?」と、心はブータン人に成りすました。
人間って一瞬の間に様々なことを考える動物である。
次の瞬間、しまった!と思うことに気がついた。
左耳のピアス!外すの忘れてた…(大汗)
バカ、バカ、バカ!
今さら遅いけど、頭を掻くふりをして耳に手をやった。
ものの2~3秒だったと思う。
様々な心配ごとはすべて杞憂に終わった。
ゲートを通過し、そこはもうブータン。
やった!やったぞ!
心の中で何度もガッツポーズを決め、
でも、街中の警察に見つからないように慎重に行動した。
小さなブータンの、大きな冒険が今始まった。
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