インドはコルカタにある伝説の安宿「パラゴン」にいる。
宿のすぐ外には、サトーと名乗る日本語ペラペラのインド人
店を出していて、彼との会話が1日のはじまり。
「オハヨーゴザイマス、キョウモゲンキ?」
面接に向かう
近くにあるチャイ屋で、フレンチトーストとチャイを買い、
宿に戻ってベッドの上で頬張った。
今日の空は重たい灰色で、いつ雨が落ちてきてもおかしくない。
さて、今日はビザ申請の2日目。
朝から面接に呼ばれている。
受験生のような面持ちで地下鉄に乗り、
予定よりも30分早くバングラデシュ大使館に到着した。
チャイムを鳴らし、面接に訪れたことを告げる。
ロックが解除され、入室を許可された。
誰もいない待合室に通され、ここで深呼吸をひとつ。
志望動機ならぬ、渡航動機をそらんじ、
ガイドブックを見ながら都市の名前を覚えた。
面接はとても簡単だと聞いた。
誰も落ちた人はいないとも。
だからこそ、その最初のひとりになりたくない。
不名誉な伝説は作りたくないのだ…。
恐るべしJAPANパワー
インド人、中国人、韓国人、様々な人種が集い始めた。
誰もが時計を気にし、そして激しく振り出した雨を気にした。
待つこと1時間、面接はいっこうに始まる気配がない。
まもなく2時間になろうかという頃に、ようやくお呼びがかかった。
呼ばれたのは3人。
自分以外に、中国人と韓国人だった。
他の2人はビザ代700ルピー(約2000円)を納め、
そして面接会場へと導かれていった。
係りの人が問う。
「あなたは日本人?」
そうです、と答えると
「OK」とひと言だけ告げ、18時と書かれた紙を手渡された。
あのぉ?面接は?
「面接は免除です」(係員)
なぜ?
「だってあなた日本人でしょ?」
さも当然のことにように係員は言い放った。
恐るべしJAPANパワー!
面接なし、ビザ代なし。
見えない力
他の2人には悪いなと思いながらも、
足取りも軽く、大使館を後にした。
僕らの知らないところで
“日本”という見えない力が働いている。
その恩恵はありがたい。
でも世界を巡る前に、もっと自国のことを知っておくべきだった。
バングラデシュにはNGOをはじめとした、
多くのボランティアが訪れている。
今日もどこかで、誰かが、“JAPANパワー”を高めているのだろう。
さぁ明日からバングラデシュ。
ハローグッバイな旅はまだまだつづく。
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