ヒマラヤ山脈を仰ぎみる街マナリ。
朝夕は冷え込み、とても同じインドとは思えない。
ヴェシシュト寺院沐浴場
今日は宿から歩いて4kmの場所にある
ヴェシシュト村の温泉に行くことに。
渓流のせせらぎをバックミュージックに谷を登って行く。
山腹から硫黄泉が湧いているため、
温泉に近づくごとに、その香りが濃くなってきた。
なんだか、日本の秘湯にでも向かっている気分だ。
いくつかある温泉の中でも、
「ヴェシシュト寺院沐浴場」という
一番ローカルなものを選んだ。
寺を奥に進み、小さな入口をくぐると
白い湯煙に包まれた温泉が顔を出した。
温泉に行こう
日本のように風情のある岩風呂や檜風呂ではなかったが、
観光客の少ないローカルな雰囲気が心地いい。
はしゃぐ子どもたちに混ざって湯船に飛び込んだ。
はぁ~、久々の温泉。
芯まで温まるこの感じ、忘れかけてたなぁ…。
普段宿では水シャワーばかりで、
たまにホットシャワーにあたっても水圧が弱く、
チョロチョロの湯を洗面器に溜めて使っている。
もちろんバスタブなんてありゃしない。
お湯に浸かれるって、こんなに幸せなことなんだね。
日本を出発して100日以上が経った。
世界には刺激がたくさんあって、毎日がとても新鮮だ。
でも、それと同じくらい日本の良さが身にしみている。
日本にいるときは、“あたりまえ”というベールに包まれているため、
失うまで気がつかなかったことがなんて多いことか。
惰性に埋没する恐さ、
そして“あたりまえ”という観念に
呑込まれる恐さを知った気がする。
すべてに「感謝」、これがこの旅で見つけた宝物だ。
永遠の国
さて、宿に戻った後は鏡に向かった。
バッグからハサミを取り出し、ザクザクと髪を切る。
ずいぶんと髪が伸びてしまったので、自分で散髪をしようというわけだ。
髪束をつかみハサミを入れていく。
パサっと膝に髪が落ち、あれ切り過ぎたかな?と、鏡を確認する。
2時間ほどこんなことを繰り返し、仕上げに前髪を切った。
顔を上げて鏡を見ると、「わらべ」のように揃った前髪…。
やべっ、チベタンみたいになっちゃった(笑
まぁ、いいか。
明日からはちょうどラダック(インドのチベット)に行くし。
(一応セットしたらいい感じになった)
こうやって今日も穏やかに1日が終わろうとしている。
インドは「永遠の国」といわれるように、
時間の流れがとてもゆっくりだ。
街に出ればたくさん人がいて、ヒドイ喧騒に包まれるが、
中国や日本のような気忙しさはない。
誰もがゆとりを持っていて、にこやかに笑っている。
そして純粋な目をしている。
しつこい客引きや物売りも当然たくさんいるが、
みんな一生懸命で、全然いやらしさがない。
なぜか笑って許せてしまうのだ。
「がんばってるなぁ」
応援したくなる気持ちまで芽生えてくるから不思議。
あれっ?インドって温泉のようなものかも。
インドという“人”の湯にどっぷり浸かってしまえば
ゆとりややさしさで心が温まる気がする。
もし、心が疲れているのなら
インドという湯に浸かってみるといい。
たとえインドに行かなくても、
本やネットを旅すれば、足湯くらいにはなると思うよ。
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