ミャンマーのヤンキー列伝

名前はジョイ。
イングリッシュネームだとおどける。
彼はここミャンマーのコートーンで、
悪どもを束ねるヤンキーのヘッド。
自らをミャンマーのマフィアだと吹いている。

道行く観光客を見つけては、
「ジュースを買ってきてやる」
「両替はこっちだ」
「寺まで案内する」
と、大勢で取り巻いては、マージンをねだる。

 

20バーツよこせ

何かにつけ「20バーツよこせ」が彼らの口癖だ。
風貌はまさにカラーギャング。でも、
ミャンマー語、タイ語、英語、
そしてカタコトの日本語まで話す。

ただのヤンキーではなく、彼らは非常に頭がいい。
そんな彼らとなぜかウマが合ってしまった。

「コーラがほしいんだ」(KAZ)
「OK。でもKAZが買えば20バーツ、
俺たちが買えば10バーツさ」(ジョイ)

あいにく20バーツ札しかなかったので
それを手渡すと、バイクで走り去り、
3本のコーラを持って帰ってきた。
「お釣りは俺たちの分。
いいだろ、同じ20バーツなんだから」(ジョイ)
クレバーな奴らめ(笑

 

ジョイは憎めないヤツ

「この近くに郵便局はあるかい?」(KAZ)
「あるよ」(ジョイ)
「案内してよ」(KAZ)
「じゃあ遠いから、ビールをおごってくれよ」(ジョイ)
「ああ、ちゃんと案内したらな」(KAZ)

16歳にして酒、タバコ、クスリを常習。
客との駆け引きも大人顔負けだ。

「ここだよ」(ジョイ)
「はぁ?」(KAZ)
案内されたのはすぐ隣にあった商店。
ここで切手とハガキが売っているという。

「俺があとからポストに入れてやるから」(ジョイ)
ものの10秒でビールをゲットした彼ら。
完全に向こうのペースだ。

 

「また来いよ」

そんな彼らでも、信頼は置けそうだ。
お金を渡しても、それを持って逃げないし、
なんだかんだと仕事をこなす。
こいつらと居れば逆に街歩きも安全かも。

ビールをおごったんだからと
彼らと行動を供にし、街を徘徊。
あげくには、彼らのバイクにまたがり
結局郵便局へも連れていってもらった。

「また来いよ」と、握手を求めるジョイ。
「ああ、来年な(笑)」(KAZ)
桟橋から帰りのボートを見送ってくれた。

ミャンマーのヤンキーたちとの間に芽生えた
不思議な友情。言葉が通じないない分、
心で分かり合えたのかも知れない。

とはいえ、100バーツ(360円)も
おごらされてるけどね…。

↑ジョイのサングラスをぶんどって記念撮影

 

旅のカケラ/slideshow

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