ラン&ガン

ホント、いい加減にしてよね…。
連日、タンザニアの悪口ばかりで嫌になるが、
せめて日記にでも書かなきゃ気が収まらない。

 

バスまで送るよ

午前5時、
昨夜は蚊に悩まされてほとんど眠れなかったが
少しは体力が回復したようだ。元気、元気。
顔を洗い、荷物をまとめて出発の準備をする。
寝ているスタッフを起こさないように
そっと玄関の扉を開けたが、
「もう行くのかい?」と、
モゾモゾと布団から這い出てきた。
「バスまで送るよ」

彼曰く、ここのバスは悪質で
必ず倍以上の料金を取られるという。
俺がバスを探してやるから安心しろ、という
頼もしい背中にくっついて歩いた。
「足立幼稚園」と記されたミニバス。
日本のお古がここで活躍していた。

乗車口に料金表が貼ってあり、
国境の町「キエラ」までは4000シリング(約300円)
と書かれていた。
宿のスタッフが「4000シリングだよな」と
運転手に念を押すと、
いらんことをしやがって…と、
苦虫を潰したような顔で「あぁ」と頷いた。

今日も苦しめられる…

どうやら出発は人が集まり次第で、
まだ1時間は動きそうになかった。
出発間際に奴らは動いた。
人も集まり、さぁ行くぞと
運賃を徴収し始める。
地元の人々は無言で4000シリング(おそらく)を手渡し、
いざ自分の番になると彼はこう言った。

「10000シリング」

はぁ?さっき4000って言ったし、
ここに書いてあるじゃん!

「10000シリング」

胸元に手を伸ばしたまま繰り返した。
WHY?(なぜ)
また、はじまったよ…と、朝から気分が悪くなった。

「4000シリングはキエラという町までだ。
そこから国境までは遠い。
だから10000シリングが国境までの値段だ」

ずいぶんと訛った英語で彼は呟く。
「じゃあいいよ、キエラまでで。
はい、4000シリング」

 

ふざけんなよ!

WHY?(なぜ)
国境までどうやって行くつもりだ?
「歩いていくよ。早く出発してよ」
無理だ、歩ける距離じゃない。道だって知らないだろ?
あぁ、しつこい。狙ったカモは絶対に逃がさない!
それがタンザニアのやり方。
あぁだ、こうだと難癖をつけ、どうにか金をかすめ取ろうと必死だ。
もううんざり、じゃあ全部持ってけよ!
と、財布に残っていた7000シリングすべてを彼に手渡し、
大きく溜息をついた。ようやく出発だ。

こうして朝食代を失い、今日も最悪の気分でスタートした。
ふて腐れながら、窓の外を眺め、いつしか眠りに堕ちていった。
暑さと騒がしさに目を覚ますと、キエラの町だった。
小さくて、砂埃がひどくて、
バンバンと窓を叩いて、「タクシー?タクシー?」と
客引きが群れていた。
「このまま国境まで行くからノーサンキュー」
愛想無く首を横に振った。
ここでまたしても事件が起きた。

ぞろぞろと新たな乗客が乗り込み、
運転手が早く降りろ、と促す。
え、国境まで行くんでしょ?
チケットを見せて運転手に確認する。
「ノー、フィニッシュ」
おいおい、話が違うだろ…。
「国境に行く客が他にいないから
ここからムベヤに戻る」
そんなことを言い始めた。
出たよ、自分勝手な理由。
倍近い7000シリングを払った結果がこれだもん…。
ホント、嫌になる。

ボラれるのはある程度覚悟してるからいいけど、
嘘はつくなよ…。
文句を言いたくても英語力が足らず、
しかも、相手も急に英語がわからないふりをする。
ふざけんなよ!と悔しさを握り締めてバスを降りた。

 

マラウィに入国

ありったけの憎悪を込めて、運転手を睨むのが関の山だった。
チキショー、チキショー…
足音にあわせて呪詛を唱える。
わかっていながら騙される自分が悔しい。
33ヶ国目「タンザニア」、もう2度と来るもんか!!

 

国境までの2kmは荷物の重さが堪えた。
怒りに任せて、今日は徹底的に移動することにした。
34ヶ国目「マラウィ」に入国。
ここはビザも不要で、あっけなく国境を通過できた。

バスがなかったので乗合タクシーに乗り、
まずは「カロンガ」へ。
(約1時間/500クワッチャ ※約350円)
カロンガの町でコースターと呼ばれる乗合ワゴンを拾い、
「ムズズ」へ。
(約4時間/1500クワッチャ ※約1100円)
ムズズのバスターミナルで軽食を摂り、
本日4本目の移動、大型バスで首都「リロングウェ」を目指した。
(約6時間/1100クワッチャ ※約750円)

昨日からあわせて2000kmの大移動!
タッチ&ゴー、ラン&ガンで
タンザニア、マラウィを駆け抜けた。

 

 

首都リロングウェ

午後10時、
人気のないリロングウェのバスターミナルに降り立ち、
相方ヒロが待つ『クリスタルロッジ』に向かった。

「早っ!?」(ヒロ)
「うん、かっ飛ばして来た(笑)」

さんざん、タンザニアの愚痴をこぼし、
胸がすっとしたところで眠りについた。
そういえば、2日間で1食しか食べてないや…。
ラン&ガンは、けっこうしんどい。

 

旅のカケラ/slideshow

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