メインストリートへ行こう

 

ムルンダヴァの宿は海辺のバンガロー。

波の音を聞きながら眠り、
波の音で目を覚ます。
なんて贅沢なっ(笑

 

贅沢な時間

ふと思った、果たして海まで何秒か?

ヨーイドンで計ってみたら
なんと5秒!?
これでいて1泊900円はお得である。

 

さて、昨日念願だったバオバブを見たので、
最早この町ですることはない…。
苦手な“のんびり”ってやつ以外は。

遅く起きた朝は…。
午前10時半、市場へ向かった。
ムルンダヴァはとにかく暑い。
早朝からぐんぐんと気温は上昇し、
この時間はすでにピーク!
40℃近い日差しに顔も視界も歪む…。

 

市場の大皿料理

町中さらさらの砂地、
サンダルに忍び込む焼けた砂を払いながら、
木陰を選んでとぼとぼと歩いた。
メインストリートに面した市場は
町中の元気が詰まっていた。

椰子の葉でできた屋根が太陽を遮ったが、
往来する人たちの熱気に汗がしたたる。
テーブル1つ分の小さな屋台が軒を連ね、
自慢の手料理が大皿に盛られている。

透き通ったスープに卵麺を浸し、
厚切りの燻製鶏肉を浮かべる。
名も知らぬ麺料理、700アリアリー(約40円)。
野菜と牛肉のごった煮に、山盛りのご飯、
つみれも2つ付けてもらって
1500アリアリー(約90円)、
さらに焼き鳥を10本注文し、
1000アリアリー(約60円)
ここは庶民の台所、なんでも安くて旨い!
この幸福感はプライスレス。
(ただ、尋常じゃないくらいハエは多いのだが…)

 

スローな島時間

帰り道にアイス屋さんを発見。
コーンに並々とバニラアイスを盛ってもらった。
言葉が通じないので、
いつもこれくらいかな?と思う金額を渡す。
500アリアリー(約30円)を手渡すと、
400アリアリー(約25円)戻ってきた。
え、5円? 安いなぁ。

宿のテラスで食べようと、今度は果物を選ぶ。
日傘をさしたおばちゃんたちが
地べたにマンゴーとライチを並べている。
1000アリアリー(約60円)を手渡し、
いくつくれるのか楽しみに待った。
すると、これまた袋いっぱいに果物を詰めてくれた。
はちきれそうな袋にまだマンゴーを押し込もうとする。

ちょ、ちょ、ちょっと、もう充分だよ(笑
ミサオチャ(ありがとう)と、手を振った。

冷たいレモネードで喉を潤し、
暑さしのぎの牛歩で宿に戻ってきた。
買い物袋をテラスの机に置き、
ダッシュで5秒の海に飛び込んだ。
洗濯ついでに服のままで(笑

いいな、こんな時間。
波にたゆたいながら、
マダガスカルの空を見上げる。
毎日がスローで、穏やかな島時間。

 

 

波の音しか聞こえない世界

足早に通り過ぎる旅の中で、
こうやって溶け込んで過ごした町は、
深い記憶となっていつまでも心に残る。

太陽の眩しさ、風の匂い、波の音、砂の感触…
ささやかなものほど鮮明に。
昼寝から目を覚ますと、
少し淋しい気持ちになった。
波の音しか聞こえない世界に、
なんだか胸が締め付けられる。

いつしか暑さが和らぎ、茜空が広がっていた。
ゆっくりと過ぎていく時間にも、
限りがあることを知らせるように―。
ただ、時間がいとおしく感じるときほど、
今が満たされてる証でもある。

 

人って不思議なもので、
足りなくても、満たされていても、
いつだって感傷を抱えているんだから。

こうやってのんびりと過ごすと、
そんな心のひずみに気づいてしまう…。
だから苦手なんだな、きっと(笑

 

旅のカケラ/slideshow

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